不眠を起こす病気

合併症に要注意!糖尿病の種類とその主な症状

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糖尿病の種類と症状

現在、日本における糖尿病患者数は年々増加しており、厚生労働省が平成26年に行った調査では300万人を超えることがわかっています。(※1)

糖尿病は太った人や食生活が乱れている人がかかる病気といった程度の認識の方が多いと思いますが、実は年間1万人以上の死亡者を出している怖い病気です。(※2)

糖尿病はこのように死に至る可能性もある危険な病気ですが、早期に治療をすれば症状を抑えていくことは十分に可能です。

今回は、この糖尿病について、まず糖尿病とは何なのか、そして、糖尿病の症状や合併症の危険性についてご紹介していきます。

※1 平成26年患者調査(厚生労働省)
※2 平成27年人口動態統計(厚生労働省)







1.糖尿病とは

まず、糖尿病とはどんな病気なのかというところからご説明していきます。

通常、私たちがご飯などの食事をとり糖質を摂取すると、糖質はブドウ糖に分解され、小腸で吸収されて血液中に入っていきます。

ブドウ糖は脳をはじめとして筋肉や臓器などのエネルギーになるもので身体の機能を維持するためには欠かせない物質です。

このブドウ糖は血液の流れとともに全身を巡り、これにより血糖値が上がります。

血糖値とは、このブドウ糖が血液中にどれくらい含まれているのかを示した数値です。

血糖値が上がるとこれを抑えるため膵臓のランゲルハンス島にあるβ細胞からインスリンというホルモンが分泌されます。

インスリンは血液中のブドウ糖を筋肉や肝臓に取り込ませて血糖値を抑える働きがあります。

正常な人の場合、このように糖質を摂取してもインスリンの働きによって血糖値を一定に保つことで健康な状態を維持していますが、このインスリンが不足してしまう、あるいはインスリンの作用が弱まることによって、血糖値が上がってしまうのが糖尿病です。

身体の各部位のエネルギーとなるブドウ糖ですが、これが必要以上に多くなると血液の流れにのって全身の血管や組織を破壊してしまい、糖尿病の様々な症状があらわれてきてしまいます。

2.糖尿病の種類

このように糖尿病の発症のキーマンは膵臓から分泌されるインスリンです。

このインスリンの状態によって糖尿病は主に1型糖尿病と2型糖尿病の2種類に分類することができます。

糖尿病の種類

①1型糖尿病

1型糖尿病とは、インスリンを分泌する膵臓のβ作用が破壊され、インスリンが全く分泌されない、あるいはごく少量しか分泌されないことによって起こる糖尿病のことを指します。

β細胞が破壊される原因は自己免疫異常という現象によるものと考えられています。

通常、私たちの身体は菌やウィルスなど身体に害をもたらすものが体内に入ってくれば、免疫がこれを取り除くことで健康な状態を維持していますが、この免疫が誤作動を起こし身体に必要なβ細胞を攻撃してしまうのが自己免疫異常です。

1型糖尿病は、体内でインスリンをつくることができないので、治療の際は注射によって体外からインスリンを補充しなければなりません。

このようにインスリンを体内ではなく外部からの補充に依存することをインスリン依存状態といいます。

ただ、1型糖尿病は日本人の場合、ごく一部にしか見られない病気であまり数も多くありません。

②2型糖尿病

2型糖尿病とは、1型とは異なり、インスリンを分泌する機能は残っているもののその分泌量が低下してしまっている、あるいはインスリンの作用が弱まっていることにより生じる糖尿病のことです。

糖尿病全体のおよそ9割がこの2型糖尿病であり、一般的に糖尿病といえばこの2型を指します。

インスリンは、血液中のブドウ糖を筋肉や肝臓への運搬させる指示を出していますが、この指示の力が低下し、インスリンの作用が弱まることをインスリン抵抗性と呼びます。

インスリンの抵抗性が高いと、血液中のブドウ糖が増え血糖値が上がってしまいます。すると、身体は血糖値を下げるためさらに多くのインスリンを分泌します。

最初の頃はインスリンの作用の低下を量でカバーしていますが、これは無理をしている状態です。無理が続くと次第に膵臓も疲弊してしまい、分泌量も減ってきてしまいます。

2型糖尿病は、その発症に遺伝的要素が深くかかわっており、両親など家族に糖尿病の遺伝要素があるとその発症率は3倍以上も高くなるといわれています。

ただ、遺伝的要素を持っているからといって必ずしも糖尿病になるのではなく、そこに過食運動不足肥満ストレスなども発症の大きな要因となります。

そのため、2型糖尿病ではこれらを改善するため食事療法運動療法が治療の基本となります。

この1型、2型以外にも妊娠をきっかけとする妊娠糖尿病やインスリンに関する遺伝子異常や他の病気によって起こる糖尿病もあります。

3.糖尿病の症状

糖尿病の厄介なところは、発症初期の段階だと自覚症状がほぼないことです。

特に生活に支障はないけれど、毎年やっている健康診断で血糖値が高いと指摘されて初めて知る場合も多いです。

糖尿病の各症状が出始めるころには、病気はかなり進行している状態です。

以下のような症状を感じた場合は、糖尿病の可能性を疑ったほうが懸命です。

  • のどが渇き水分を大量に摂取する
  • 尿の量・排尿回数が増える。そして、それによる不眠が生じる。
  • 身体がだるく疲れやすい。
  • 食べているのに体重が減ってしまう。

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4.糖尿病による合併症

これらの糖尿病による症状も生活の質を下げてしまう要因となりますが、糖尿病においてさらに怖いのが合併症です。

合併症の進行度によっては足の切断失明など取り返しのつかないことになる場合もあります。

特に注意しなければならないのが、糖尿病の三大合併症と呼ばれる糖尿病神経障害糖尿病網膜症糖尿病腎症の3つです。

糖尿病の合併症

①糖尿病神経障害

糖尿病の合併症の中で、最も頻度が高く早期に起こりやすいのが神経障害です。

糖尿病により高血糖の状態が続くと、神経の感覚機能がおかされて知覚障害が生じてきます。

特に多いのが足先の知覚神経の障害です。

自覚症状としては、指先の裏からのしびれや軽く触れられている感じがする違和感、針で刺されている感じなどがあり、ひどい場合には布団のシーツに足が触れただけで激痛が走ることもあります。

逆に痛みなど感覚が全くなくなってしまうこともあり、足先に傷があったとしてもそれに気づかなくなり、放置すると細菌感染が進行してしまいます。

細菌感染が進むと最悪の場合、細胞が死に壊疽(えそ)を引き起こします。

壊疽になると足を切断しなければならないこともあります。

また、糖尿病は身体の各器官の正常な働きを維持する自律神経の機能に障害を与えてしまうこともあります。

自律神経がおかされると、自律神経失調症icon-external-link のような症状があらわれてきます。

代表的なのはめまい立ちくらみ便秘下痢、そして多汗EDなど様々な部分の症状に悩まされることになります。

②糖尿病網膜症

神経障害とともに注意しなければならない合併症が網膜症です。

目の中のスクリーンにあたる網膜内に出血などが生じるのが網膜症で、進行すると失明の危険性もあります。

糖尿病による失明は、成人の失明原因の第2位であり、多くの人が糖尿病で失明となっており他人事ではありません。

初期の頃には小さな出血や血液が減少する虚血網膜白斑などが生じますが、基本的にこれらに自覚症状はありません。

網膜症が進行し、大きな出血が起こり始めるとようやく視力の低下視野の異常を自覚するようになります。

これらを防ぐには日常生活で血糖値をコントロールすることが最も重要ですが、進行度によってはレーザー治療が必要になる場合もあります。

また、大出血網膜剥離が起こるまで進行すると治療は極めて困難となります。

ですので、自覚症状を感じる前に定期的に検査を受けることが必要になります。

③糖尿病腎症

腎臓は血液中の不要物を排出し、必要な物を再吸収する、いわばろ過装置のような機能を持っている臓器です。

腎臓の働きの中心を担っているのは毛細血管の塊である糸球体と呼ばれる部分で、糖尿病が進むとダメージを受けてしまいます。これが糖尿病腎症です。

糖尿病腎症の初期では、タンパク質が含まれた尿が微量に排出されますが、このタンパク尿が増え病気が進行すると、ネフローゼ症候群と呼ばれる足のむくみや全身のむくみを伴う低タンパク症を引き起こします。

そして、さらに進行すると必要な物を排出し、不必要な物を排出する力が弱まる腎不全となります。

腎不全は場合によっては死に至ることもある非常に危険な状態です。糖尿病による死亡原因の約15%はこの腎不全によるものです。

糖尿病腎症が末期まで進行すると、自分の力だけでは血液を浄化できなくなり、人工透析が必要となります。

こちらも網膜症と同様に定期的に検査を受けて早期に発見することが求められます。

④そのほかの合併症

icon-check-circle大血管障害(動脈硬化)

網膜症や腎症は毛細血管などの細い血管の障害によって引き起こされますが、糖尿病はこれらだけでなく大きな動脈にも障害をもたらします。これが大血管障害で、動脈硬化と同じものを指します。

大血管障害は、糖尿病とともに発症することが多い高脂血症高血圧、そして喫煙などの影響によって生じてきます。

大血管障害は死に至ることもある脳梗塞心筋梗塞の大きな要因となり、脳梗塞は約2倍、心筋梗塞は約1.5倍、正常の人より起こしやすいといわれています。(※)

※よくわかる最新医学 糖尿病 最新治療・最新薬 鈴木吉彦

そのためこれらを防ぐには血糖値のコントロールだけでなく血圧や高脂血症の検査も定期的に行わねばなりません。

icon-check-circle歯周病

意外かもしれませんが糖尿病は、歯と歯茎の感染症である歯周病の発症や進行にも大きく関わっています。

糖尿病の場合、細菌感染が起こりやすいため歯周病の進行を進めてしまう危険性があります。

また、歯周病はインスリンの作用を妨げる物質の分泌を促してしまうため、逆に糖尿病を悪化させる要因ともなります。

歯周病は場合によっては歯の土台が溶けて歯を失ってしまう可能性もある怖い病気です。

こちらも定期的な検査が必要なります。

このほかにも糖尿病は認知症骨粗鬆症睡眠時無呼吸症候群icon-external-link などの病気を合併することがあります。

5.糖尿病による急性合併症

これらの合併症は、糖尿病の状態を長期的に放置していた場合に起こりますが、このほかにもある条件が重なることで昏睡にも至る急性合併症を起こすこともあります。

①高浸透圧高血糖症候群

高浸透圧高血糖症候群とは、発熱や猛暑、下痢などによって脱水がきっかけとなり血液中の浸透圧が異常に上昇した状態のことをいいます。

浸透圧とは、簡単に言えば濃度が違う液体同士が隣り合っていると、同じ濃度になるように水分を移動させる圧力のことです。

発熱などにより血液中の水分が減少し、血糖値が上がると血液の浸透圧が異常に上昇します。

すると細胞内の水分が血液中に吸い出されてしまい、身体の各組織が正常に働かなくなってしまいます。

この状態になるとけいれんが起こったり、場合によって昏睡にもなる危険な状態です。

これを抑えるためには、細胞の水分を補うため輸液による水分補給が必要となります。

②糖尿病ケトアシドーシス

1型糖尿病におけるインスリン注射の効果が切れてしまったり、2型糖尿病でも高血糖を放置していた場合に起こるのが糖尿病ケトアシドーシスです。

このような状態の時は、インスリンが不足しブドウ糖を使用することができないので脂肪を分解してエネルギーを補給します。その際に体内にケトン体という物質が大量に作り出されます。この状態をケトーシスといいます。

ケトーシスとなり、ケトン体が増えると通常アルカリ性であった血液が酸性に傾くアシドーシスという状態になります。

このケトーシスが原因となってアシドーシスになることをケトアシドーシスといいます。

ケトアシドーシスになると意識障害から昏睡状態となり、場合によってはに至ります。

ケトアシドーシスになった場合は、高浸透圧高血糖症候群と同様に水分を補給することとともにインスリンを補給することで症状を抑えます。

③低血糖症

これとは逆にインスリンの量が多くなりすぎて、血液中のブドウ糖が減少したことによって血糖値が異常に下がってしまうことを低血糖症といいます。

インスリン注射の打ちすぎや食事の不足、激しい運動などが原因となって起こります。

ブドウ糖はこれまで述べてきたように脳や神経などのエネルギーとして必要不可欠なものです。これが不足すれば身体の各所に異常が生じてきます。

不安感動悸震え発汗、そして頭痛眠気などの症状があらわれ、さらに血糖値が低下すれば昏睡状態となります。

応急的な対策としては、速やかにブドウ糖を補給することが必要となります。

これにはゼリー状やタブレット状のブドウ糖やジュースなどを飲み体内のブドウ糖を補うことで対処します。

まとめ:症状がないからと油断しない

以上、糖尿病の症状や合併症についてご紹介してきました。

文中でも述べましたが、初期の段階では自覚症状がなく自分でも気づきづらいのが糖尿病の特徴です。

しかし、糖尿病は気づかずに放置すると死に至る可能性もある危険な病気です。

これに対処するには他の病気と同様に糖尿病も早期発見・早期治療が非常に大切です。

健康診断は必ず毎年受け、また、血糖値の高さを指摘された場合は放置せず必ず病院で検査を受けるようにしましょう。

次回は、糖尿病の診断のための病院における検査についてご紹介していきます。

血糖値とHbA1cの数値は?糖尿病とその合併症のための検査

食品交換表とは?糖尿病治療の第一歩、食事療法と運動療法
新薬の効果は?糖尿病の最新治療における薬物療法







参考:
・よくわかる最新医学 糖尿病最新治療・最新薬 鈴木吉彦
・糖尿病今注目の最新療法 清野裕
・〈医師〉〈看護師〉〈患者・家族〉による糖尿病の本 阪本雄一
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