不眠を起こす病気

ホルモン補充療法やバイアグラなどの男性更年期障害の4つの治療

男性更年期障害の4つの治療法

前回の記事icon-external-link では、男性更年期障害の症状や検査法について詳しくご紹介してきました。

血液検査などを行い、テストステロンの減少がみられた場合は男性更年期障害として診断され、治療が行われていくことになります。

男性更年期障害の治療では、主にホルモン補充療法が行われており、このほかにも性機能改善剤抗うつ薬漢方薬が用いられることもあります。

今回は、この病院で行われる男性更年期障害の治療についてご紹介していきます。







1.ホルモン補充療法(HRT)

男性更年期障害の各症状は、男性ホルモンであるテストステロンの減少が原因であるため、これを補充することによって症状を解消していく治療法がホルモン補充療法(HRT)です。

現在の男性更年期障害の治療においては、このホルモン補充療法が第一選択として検討されることになります。

①効果と使用法

ホルモン補充療法は、原因であるテストステロンの減少を食い止めるため、男性更年期障害の様々な症状の緩和に効果がありますが、特に筋肉量の増加性欲気分の改善に顕著な効果が得られます。

女性の更年期障害の治療で行われるホルモン補充は飲み薬貼り薬のタイプの薬が用いられますが、男性の場合、基本的に筋肉注射でホルモン補充が行われます。

他にも飲み薬である経口剤もあるのですが、十分な効果が得られないことや肝機能障害を引き起こす危険性があるためほぼ使用されていません。

また、塗り薬のタイプもあり、簡単に使用できるメリットもありますが、効果は筋肉注射には劣るといわれています。(一部の医療機関ではこのタイプも使用されています。)

なお、筋肉注射によるホルモン補充の場合、効果の持続期間の関係でおよそ2~4週間ごとに再度注射することが必要となります。

②副作用・デメリット

このホルモン補充療法は男性更年期障害の原因から解消する原因療法であるため大きな効果を期待できますが、その反面副作用などのデメリットがあることも確かです。

icon-check-circle前立腺がん

前回の記事でも触れたように、既に前立腺がんを患っている場合、ホルモン補充を行うとがんの進行を助けてしまう危険性があるため、この治療法を行うことはできません。

では、ホルモン補充が前立腺がんの発生の原因となりうるかどうかが気になるところですが、発生したという明確な研究結果もないものの、完全に否定もできないため慎重な対応が求められます。

そのためホルモン補充療法を行う際には、前立腺がんの発生を確認できるPSA検査治療前だけでなく治療中も行っていくことになります。

icon-check-circle多血症

テストステロンは男性更年期障害だけでなく貧血の治療薬として使われることもあり、これを補充することにより、血が濃くなりぎて多血症となってしまう危険性があります。

多血症になると血管が詰まる血栓症静脈炎脳血管障害を起こしてしまう可能性もあるため、前立腺がんと同様に治療の際には血液検査も定期的に行わなければなりません。

ただ、水分を十分に補給したり、献血のように血を抜くことで防ぐこともできるといわれています。

icon-check-circle睡眠時無呼吸症候群

睡眠時に呼吸が止まってしまい、不眠や日中の居眠りを引き起こしてしまう睡眠時無呼吸症候群icon-external-link という病気がありますが、ホルモン補充療法はこの病気を悪化させてしまうといわれています。

そのため既にこの病気にかかっている人にはホルモン補充療法を行うことはできません。

icon-check-circleジェットコースター状態

テストステロンを注射によって補充した場合、注射後のテストステロンの濃度はずっと一定になるのではなく、注射後2~3日でピークに達し、その後は徐々に減っていくという経過をたどります。

ピーク時には正常値の濃度をはるかに上回ってしまうため、精神的な高揚顔のほてりがみられることがあり、また、その後低下していくと疲労感が増していく傾向にあります。

そして、再度注射するとまた高揚感があらわれるという流れを繰り返し、ジェットコースターのような気分の波を経験することになります。

このほかにも投与後にニキビができたり、女性化乳房脂質代謝異常などを引き起こしてしまう場合もあります。

③いつまでホルモン補充を続けるか

ホルモン補充療法は、症状が軽減され安定してくればその量を減らしたり、注射する間隔をあけていったりと減薬を行っていきますが、これには個人差があり減薬がうまくいかず治療が長期化してしまう例も多くあります。

筋肉注射なのでそのものの痛みも強く、また、自宅ではできない治療法であるため定期的な通院が必要となり、長期化すれば患者さんの負担はさらに大きくなってしまいます。

しかし、国際的な学会では、『ホルモン補充は通常一生行われるものである』という意見が提示されたこともあります。

ホルモン補充療法が男性更年期障害の治療として確立され始めたのは比較的最近のことであり、このいつまで治療を続けるかという問題については答えが出ていないのが正直なところのようです。

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2.性機能改善剤(バイアグラ)

男性更年期障害の症状の中でもED(勃起障害)が主訴である場合には、クエン酸シルデナフィルという薬、いわゆる『バイアグラ』が使われることもあります。

①効果

バイアグラのED改善効果は7~8割ともいわれ、その有効性の高さから、ED治療を一変させた薬とも言われています。

また、1999年に発売されて以降、その安全性はほぼ確立されており、使用法を間違えなければ大きな副作用が起こる心配もありません。

さらに、バイアグラによってEDが解消されると、それに伴って他の症状も緩和されることも多くみられます。

これは悩んでいた症状の一つが解消されたことでそれがきっかけとなりその相乗効果で改善されたり、そもそもの症状の原因が、本人は自覚していなくとも、EDであることも少なくないためであるとも考えられています。

このようにバイアグラは男性更年期障害の治療においてホルモン補充療法に次ぐ重要な治療薬の一つとなります。

②副作用

先ほどバイアグラには大きな副作用がないと書きましたが、一つだけ注意しなければならないことがあります。

それは狭心症の治療に使われる硝酸剤(ニトログリセリンなど)との併用です。

硝酸剤は血管を広げて流れをよくする作用がありますが、もともとバイアグラも狭心症の薬として使われており、似た働きを持っています。

そのためこれらを併用すると血管が広がりすぎて極端に血圧が下がってしまい、場合によっては死に至ることもあります。

そのためバイアグラと硝酸剤の併用は禁忌とされており、硝酸剤を服用している場合は使用することができません。

③作用の仕組み

バイアグラというと性欲を高める効果があり、媚薬のようなものというイメージがありますが、その作用はあくまで勃起を起こりやすくし、そしてそれを持続させる働きに限定されます。

そもそも勃起の起こるメカニズムを簡単に説明しますと以下のような流れとなります。

まず性的な刺激を脳が受けると、それが陰茎に通じる神経を刺激し、cGMPという物質が増加します。

このcGMPは陰茎の筋肉を弛緩させて血液を入りやすくする作用があります。

これにより血液が入り込めば勃起となりますが、その後cGMPはPDE5という物質によって分解され、次第に勃起が収まります。

バイアグラはこの勃起を助けるcGMPを分解してしまうPDE5の働きを抑える薬です。

バイアグラの作用の仕組み

そのためバイアグラの作用ははあくまで勃起を維持する働きであり、バイアグラによって興奮しやすくなったり、刺激に敏感になるというような効果は期待できませんので注意が必要です。

3.その他の治療

①漢方薬

ホルモン補充療法のほかにも女性の更年期障害の治療と同様に漢方薬が処方されることもあります。

漢方薬は、身体全体の調子を整え自己治癒力を高めることによって症状を緩和させるものなので、身体の様々部分に症状があらわれる更年期障害の治療には大きな効果が期待できます。

実際の医療現場では、症状がすっかりなくなってしまう人が1/3、軽くなる人が1/3とおよそ6割程度の人に効果があるといわれています。(※)

使われる漢方薬としては、女性の更年期障害でも多く使われる『当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)』、『加味逍遙散(かみしょうようさん)』、『桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)』のほかに、EDに効果のある『八味地黄丸(はちみじおうがん)』や体力回復に効く『補中益気湯(ほちゅうえっきとう)』などがあります。

これらの漢方薬の中から、医師が患者さんの体質や状態を見極めその人に合った漢方薬を個別に選び処方されます。

※男の更年期障害を治す 天野俊康

②抗うつ薬・睡眠薬

男性更年期障害の症状の中でも、特に患者さんの生活の質を下げるものがうつ症状です。

抑うつ感や意欲低下が強ければ仕事ができなくなってしまうこともあります。

このうつ症状がテストステロンの減少によって引き起こされているのであれば、基本的にはこれを補充するホルモン補充療法が行われますが、このほかにもうつ病の治療に使われる抗うつ薬睡眠薬が処方されることもあります。

抗うつ薬は、うつ病の原因とされる脳内物質セロトニンノルアドレナリンなどの不足を食い止めることでうつ症状を改善させる薬です。

抗うつ薬には、三環系・四環系・SSRI・SNRIなどの種類がありますが、それぞれの働く作用や効果が出るまでの時間、そして副作用が異なるのでその人に合った薬を医師が選び処方することになります。

また、うつ病と不眠は切っても切れない関係にあり、うつ病のほとんどのケースで寝つきが悪いなどの睡眠障害があらわれてきます。

ですので、これを改善するために睡眠薬が処方されることもあります。

睡眠薬はその作用が効く時間によって種類が分かれており、寝つきが悪ければ短時間型の睡眠薬が、途中で起きてしまうという場合には長時間型がといったように睡眠障害の症状によって個別に処方されます。

抗うつ薬や睡眠薬の専門は精神科心療内科であるため、男性更年期障害として泌尿器科を受診していても、抗うつ薬や睡眠薬が必要であると判断された場合は、これらの専門の医療機関が紹介されることもあります。

ただ、抗うつ薬や睡眠薬はその効果は期待できるものの、やはり副作用が出てしまうことがあるのも事実です。

これらの薬を処方された際には、正しい服用法を守るのはもちろんのこと、副作用についても医師から十分な説明を受けることが重要です。

服用する前に理解するべき睡眠薬の種類とその強さについて

まとめ:正しい知識を持ったうえで治療法を選択する

以上、男性更年期障害の治療について詳しくご紹介してきました。

基本的には、ホルモン補充療法が第一選択として検討されますが、ご紹介したように他にも性機能改善剤や抗うつ薬、漢方薬といった治療がとられることもあります。

改善効果や、それにかかる時間、治療の簡便さや副作用など、どの治療法にもメリット・デメリットがあり、どれを選択するべきかは患者さんの状態や症状への向き合い方で変わってきます。

当然専門家である医師が適切な治療法を提案してくれますが、最終的に選択するのは患者さん自身です。

不安なことやわからないことは医師に必ず確認し、正しい知識を持った上で治療法を選択することが大切です。

まずは自分でチェック。男性更年期障害の主な症状と検査法







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