生理前はイライラしてストレスがたまったり、不安な気分になったり憂鬱な時期ですが、同時に来る眠気も困りものです。
女性のカラダとココロの健康情報サイト『ルナルナ』が行ったアンケート によると約7割の女性が生理前や生理中に眠気を感じていることがわかっています。
今回は、この生理前の眠気の原因とその対策についてご紹介していきます。
1.生理前の辛い症状
生理前や生理中には多くの女性が心や身体に不調を感じています。
小林製薬が行った調査では、以下のような症状が女性を悩ませていることがわかっています。
生理痛・下腹部痛、身体の重だるさ、乳房のハリ、日中の眠気、腰痛、肌荒れ、頭痛など
イライラ、感情の起伏の激しさ、気分の落ち込みなど
特に日中の眠気は仕事や家事にも悪い影響を与え、思わぬトラブルの原因となる可能性もあるので解消したいという女性も多いと思います。
2.生理前の眠気の原因
この生理前に生じる眠気は、女性ホルモンと関係しています。
女性の月経周期は、いわゆる生理中の月経期、排卵の準備期間である卵胞期、排卵期、妊娠した時に備える黄体期の4つがあり、これを繰り返していますが、眠気を感じやすいのは月経前の黄体期です。
この黄体期に多く分泌されるのがプロゲステロンという女性ホルモンです。
プロゲステロンとは、妊娠した時に受精卵が子宮内で育ちやすいように環境を整える働きを持つホルモンで、これに合わせて体温を上げる作用もあります。
体温と睡眠は大きく関係していて、通常、人は活動をしなくなる夜に体温が下がっていくことで眠りやすくなります。
赤ちゃんが眠い時に手足が温かくなっているのは手足から体温を外に逃がそうとしているためで、眠るためにこうして体温を下げようとしているのです。
しかし、生理前の黄体期では、プロゲステロンが多く分泌されて体温が上がってしまい、体温の変動が小さくなります。
その体温上昇は卵黄期と比べると0.5℃も高くなるといわれています。平熱が36.5℃なら37.0℃になる差ですからだいぶ大きく変わってしまっているのがわかると思います。
この時期のプロゲステロンの作用によって体温が下がりにくくなることで、寝つきが悪くなったり、深い睡眠が減って熟睡ができなくなったりと不眠の症状があらわれてきます。
こうしていつもと同じように睡眠時間をとっていたとしても昼間に眠気を感じやすくなってしまうのです。
また、黄体期には、眠りを誘うホルモンであるメラトニン、あるいはこのメラトニンの原料となるセロトニンという脳内物質の分泌が減ってしまう報告もあり、これも寝つきの悪さや日中の眠気の原因の一つであると考えられています。
3.生理前の眠気の対策・対処法
プロゲステロンの作用によって体温が上がったままで変動がなくなってしまうと体内時計のリズムが狂ってしまい、寝つきや日中の眠気に影響を与えてしまいます。
ですので、生理前の眠気対策には、体内時計の狂いをリセットすることが必要となります。
①太陽の光を浴びる
体内時計の狂いを改善するために、まず一番重要なのが朝に太陽の光を浴びることです。
日中働いていたり家事をしていたりするとどうしても日の光を十分に浴びることが少なくなってしまいがちです。
ですので、通勤の時にはバスを使わず外を歩いてみるなど意識的に光を浴びるようにしましょう。
②朝食を必ず食べる
また、朝食をとることも体内時計を調節するには重要な要素です。
しかし、国の調査によると20代の女性のうち約30%が朝食をとっていないことがわかっています。(※)
朝食は体内時計の調整だけでなく日中の活動のエネルギーとなるものです。昼間にしっかり仕事や家事などをしてエネルギーを消費することは質の良い睡眠にも効果があります。
軽い物でもいいので必ず朝食は食べるようにしましょう。
③眠気対策には仮眠をする
睡眠時間が十分に取れなかったときやどうしても眠気がとれないときは、思い切って昼寝をしてみるのも一つの手です。昼間の短時間の仮眠は、午後の眠気を解消するのに非常に効果があります。
ただ、長時間になってしまうと夜の睡眠に影響が出てしまい逆に体内リズムを狂わしてしまうので20~30分程度に抑えるようにしましょう。
・横になるのはNG?パフォーマンスを上げる仮眠の正しい取り方7選
④ぬるま湯にゆっくりつかる
photo credit: matthewcunnelly German Shepherd Puppy In Bath via photopin (license)
そして、夜眠る前に上がっている体温を下げる工夫も必要です。そのためにはぬるま湯での入浴が有効です。
眠る前に手足が冷たくなってしまったままだと熱をうまく逃がすことができず、身体を眠る状態にすることができません。そこで、ぬるま湯にゆっくりつかって身体全体を温めることで、その後に体温を放出しやすくすることができます。
また、入浴後に軽いストレッチなどの運動を取り入れるとさらに効果があります。
まとめ
以上、生理前の眠気の原因やその対策についてご紹介してきました。
特に対策は、日の光を浴びる、朝食を食べるといった当たり前のことですが、仕事や家事で時間に追われていると意外とできなくなってしまいがちです。
生理による嫌な症状を少しでも抑えるにはこのあたり前のことを一つ一つ行っていくことが必要となります。
また、不眠や眠気といった睡眠障害に加えてイライラや抑うつ感が強くなってしまった場合は、月経前症候群の可能性もあります。
その場合は、無理をせず婦人科や精神科、心療内科といった専門医に相談することも考えてみましょう。
※不眠や日中の眠気を解消するにはこれらだけでなく睡眠の質を高めることも大切です。睡眠の質を高めて深い眠りにつく方法については以下の記事にまとめてありますので合わせてご覧ください。
・女性のための睡眠バイブル 渋井佳代 遠藤拓郎
・今度こそ「快眠」できる12の方法 内山真