睡眠障害

ナルコレプシーだけじゃない!7つの過眠症とその症状や原因

過眠症の症状や原因

夜十分に寝たはずなのに、日中にすごく眠くなってしまう・・・

コーヒーを飲んだり、人と話したりしてみたものの眠気が一向にとれる気配がない・・・

こうした悩みを持っている方、それはもしかしたら過眠症かもしれません。

過眠症は睡眠障害の一種でれっきとした病気です。症状を軽減するには病院での治療が必要となります。

不眠症と違いあまりなじみのない過眠症ですが、これも症状や原因などに応じて多くの種類があります。

今回は、日中の眠気の原因となる7種類の過眠症の症状や原因についてご紹介していきます。







1.ナルコレプシー

日中の居眠り

過眠症の中で、最も有名なのがナルコレプシーです。

ナルコレプシーは、日中に強い眠気が生じ自分の意志ではどうすることもできず眠ってしまう病気です。

そのため別名『居眠り病』とも言われています。

①ナルコレプシーの症状・原因

このナルコレプシーの代表的な症状は以下の4つです。

  • 睡眠発作:日中の突然の居眠り
  • 情動脱力発作:感情の高まりに伴う全身の脱力
  • 入眠時幻覚:眠りばなの幻覚
  • 睡眠麻痺:金縛り

ナルコレプシーでの睡眠発作は、持続時間が短く5~15分ほどで、居眠り後には爽快感があるのが特徴です。

笑ったり怒ったりしたときに突然身体の力が抜けてしまう情動脱力発作という症状もナルコレプシーの特徴であり、ナルコレプシー患者の8割以上にみられます。

ナルコレプシーの発症の原因としては、脳内物質であるオレキシンの不足であると考えられています。

オレキシンは身体や脳が覚醒した状態を保つのに重要な役割を果たす物質ですが、これが何らかの理由により不足することで覚醒した状態を保つことができなくなるといわれています。

②ナルコレプシーの診断

ナルコレプシーの診断には睡眠ポリグラフ検査MSLT(反復睡眠潜時検査)が主に行われます。

睡眠ポリグラフ検査とは、頭や顔などに電極を付けて眠り、睡眠時の脳波や眼球運動、筋電図などを記録する検査です。

睡眠障害における代表的な検査の一つで、ナルコレプシーでは夜間の睡眠がノンレム睡眠から始まるという特徴があるため、それを確認することができます。

また、MSLTとは、1日に複数回昼寝をし、その寝付くまでの時間を記録することで日中の眠気を測定する検査です。

これらの検査や問診を行い、以下の診断基準にあてはまればナルコレプシーと診断されます。

  • ほとんど毎日、日中における過度の眠気が生じたり、寝込んでしまう状態が3か月以上続いている
  • 情動脱力発作が生じている
  • MSLTによる入眠までの時間が8分以下である

ほかにもナルコレプシーを含めた過眠症かどうかを確認する手段としてエップワース睡眠尺度という診断テストがあります。

この診断テストはいくつかの質問に答えるだけのテストであり、自分でも簡単に測定することができます。

気になる方は以下のページで測定できますのでチェックしてみてください。

過眠症診断テストを受ける

③ナルコレプシーの治療

ナルコレプシーの治療は、日中の過眠症状についてはモダフィニルなどの精神刺激薬が、その他の症状に対しては三環系抗うつ薬などが処方されます。

また、こうした薬物療法以外にも規則的な睡眠習慣を送ることや昼寝を活用するといった対策も一定の効果があります。

※詳しくは下記記事にまとめてありますので気になる方はこちらをご覧ください。

その居眠り病気かも?ナルコレプシーの4つの症状とその治療法

2.特発性過眠症

この特発性過眠症もナルコレプシーと同様、日中に強い眠気に襲われ眠り込んでしまう睡眠発作が起きる病気です。

①特発性過眠症の症状

ナルコレプシーとの違いとしては、情動脱力発作や入眠時幻覚が起こらないことのほかに、眠ってしまう時間が長いことが挙げられます。

ナルコレプシーの場合、眠ってしまう時間は短く5~15分程度で収まり、寝起きはすっきりしています。

一方、特発性過眠症の場合は眠り始めると一時間以上、時には3,4時間目覚めないこともあります。

起きたときには爽快感はなく、『酩酊睡眠』というひどい寝ぼけ状態であることも特徴的です。

特発性過眠症とナルコレプシーを比較すると以下のようになります。

ナルコレプシー 特発性過眠症
居眠り 5-10分 1-数時間
情動脱力発作 あり なし
居眠り後 爽快感 睡眠酩酊
入眠時のレム睡眠 あり なし

また、この特発性過眠症の場合、夜間の睡眠状態は良好である場合が多く、時には10時間以上寝ていることもあります。

②特発性過眠症の原因・治療

この病気の原因については、中枢神経系との関連が考えられますが、正確なことはわかっていません。

治療についても、自然治癒することはなく、精神刺激薬の服用による日中の眠気の軽減に限られてしまいます。

ナルコレプシーで処方されるモダフィニルはこの病気においては保険適用外であり、副作用として肝障害の可能性があるぺモリンという薬が処方されることとなります。

特発性過眠症については発症の頻度も少なく十分な研究が進んでいないのが実情です。

3.反復性過眠症

傾眠期

反復性過眠症とは、1日16時間以上の長時間睡眠が数日から数週間続いてしまう病気です。

この長時間睡眠の期間を『傾眠期』といい、傾眠期が過ぎると普段の睡眠状態に戻りますが、時間が経つとまた傾眠期が訪れ、数か月ごとにこれを繰り返すのが特徴です。

この反復性過眠症の中でも、認知機能障害や過食、性欲亢進が伴う場合もあり、これをクライネ・レヴィン症候群と呼んでいます。

反復性過眠症は、非常にまれな病気ですが、10~20歳前半の若い世代に多く、女性より男性の方が発症率が高いとされています。

非常にまれな病気であることからも十分な研究が進んでおらず、視床下部や前頭葉など脳の障害が原因とも考えられていますが明確なことはわかっていません。

ナルコレプシーなどでも使用される精神刺激薬が処方されることもありますが大きな効果は得られず、現状、確立した治療法はありません。

ただ、この病気は多くの場合年齢を重ねるごとに軽くなり、中年期以降はよくなる場合もあります。

この反復性過眠症では、傾眠期に通常の生活を送ることは困難です。

ですが、この時期を過ぎれば普段通りの生活を営むことができます。

ですので、周囲がこの病気の症状を理解し協力していくことが必要不可欠となります。

スポンサーリンク





4.行動誘発性睡眠不足過眠症

行動誘発性睡眠不足過眠症とは、簡単に言ってしまえば慢性的な睡眠不足による過眠症です。

睡眠時間が足りていないことを自覚せず生活をしていて、日中に強い眠気を感じてしまう病気です。

日中の過眠で最も多いのがこの慢性的な睡眠不足です。

ですので、過眠の症状があらわれている場合はまず睡眠不足が原因でないかを確認する必要があります。

現代では、長時間労働に加え、家事や子育て・介護などやることが非常に多く睡眠時間が削られてしまいがちです。

かといって本来人が健康な状態を維持するために必要な睡眠時間が短くなったわけではありません。

こうして知らず知らずのうちに睡眠不足になると当然日中に眠気を感じ、過眠状態に陥ってしまいます。

行動誘発性睡眠不足過眠症の場合、睡眠が足りていないことが原因です。

したがって、夜に十分な睡眠をとることで回復します。

適切な睡眠時間は人によって異なるので、眠気を感じず日中に支障が出ない睡眠時間を自分で探していくことが大切です。

8時間が理想って本当?最適な睡眠時間とは実は〇時間だった!

5.うつ病に伴う過眠症

非定型うつによる過眠

うつ病の場合、ストレスの影響で覚醒や睡眠に関わる脳内物質であるセロトニンやノルアドレナリンの作用が弱まってしまっています。

ですので、うつ病が発症すると、夜眠れない不眠だけでなく昼間に眠気を感じる過眠が生じる場合もあります。

特に、非定型うつ双極性障害(躁うつ病)のうつ状態の時に過眠状態になってしまう傾向があります。

非定型うつとは、通常のうつ病が不眠や食欲低下を伴うのに対して、逆の過眠過食といった症状がみられる病気です。

また、何事にも落ち込んでしまう通常のうつ病に対し、非定型うつでは楽しいことなどがあると気分が明るくなることも特徴の一つです。

このうつ病に伴う過眠症の場合は、まずうつ病の治療が最優先です。

また、こうした眠気は夜間の睡眠の質の低さも影響しているので、不眠症で使われる睡眠薬が有効に作用することもあります。

特にベンゾジアゼピン系と呼ばれる睡眠薬は、睡眠効果だけでなく抗不安作用もあるのでうつ病の治療にも効果を発揮することもあります。

6.睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に舌が気道に落ち込み気道がふさがってしまうことで呼吸ができなくなったり浅くなってしまう病気です。

睡眠中に呼吸ができないと血液中の酸素が不足し始めます。

そうすると脳はこれに対処しようと交感神経系の活動を高めようとします。

本来覚醒時に活発な交感神経が睡眠中に緊張が高まってしまうと眠りが浅くなったり、途中で起きてしまったりします。

こうなると当然深い眠りが確保されていないので日中の眠気集中力の低下など過眠の症状が生じてきてしまいます。

この睡眠時無呼吸症候群の主な原因は肥満です。

肥満により気道周辺に脂肪がついてしまうと気道が狭くなり睡眠時の呼吸が妨げられてしまいます。

治療には、睡眠時に口の中に専用のマウスピースをはめて気道を確保する方法や、鼻や口を覆うマスクをして空気を送り込み強制的に気道を広げる手法などがあります。

ただ、これらは対症療法であり使用をやめれば元に戻ってしまいますので、根本の原因である肥満を解消するためにダイエットを同時にしていくことが必要となります。

7.薬剤性過眠症

風邪薬を飲むと眠くなるのは誰しも経験があると思いますが、これは風邪薬である抗ヒスタミン剤の副作用に眠気を増進する効果があるためです。

このように一部の薬には日中の眠気を増進させてしまう効果があるものがあります。

過眠の症状を引き起こす可能性のある代表的な薬は以下の通りです。

  • 抗うつ薬
  • 抗精神病薬
  • 抗てんかん薬
  • 抗不安薬
  • 抗ヒスタミン剤
  • 気管支拡張薬
  • 胃腸機能調整薬
  • 消炎鎮痛薬
  • 筋弛緩薬
  • 降圧薬など

過眠の症状に悩む場合はこれらの薬を服用していないか確認してみましょう。

もし該当する薬を服用している場合は、医師と相談し薬の変更や休薬を検討してください。

なお、自分の判断で薬の服用を中止してしまうのは大変危険ですので必ず医師の指示を仰ぐようにしましょう。

まとめ:自己判断せず専門家を頼りましょう

以上、7種類の過眠症の特徴や症状をご説明してきました。

過眠症は、病気であるにもかかわらずその認知度が低いために不真面目怠け者という評価をされてしまったり、集中力や注意力の低下により重大なミスをしてしまったりとときに社会生活に多大な影響を与えてしまいます。

過眠症による眠気は根性や気合でなんとかなるようなものではなく、病院での治療が必要です。

これまで述べた内容に少しでも不安を感じた場合は、自分で判断したり対処したりせず専門医に相談することをおすすめします。

※もし過眠症の疑いがある場合には睡眠障害専門の医療機関を受診することが必要です。睡眠障害を専門とする医療機関については日本睡眠学会が睡眠医療認定医をHPでリストアップしているので、どこの病院に受診するべきかわからないという方は下記のページで確認してみてください。

睡眠医療認定医リスト(日本睡眠学会)







参考:
・睡眠障害のなぞを解く 櫻井武
・好きになる睡眠医学 内田直
標準的神経治療:不眠・過眠と概日リズム障害(日本神経治療学会)
All About 健康・医療

あなたにおすすめの記事

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*

CAPTCHA