不眠を起こす病気

抑うつ感、不眠など誰もが知っておくべきうつ病の主な症状と原因

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落ち込む女性

抑うつ感、意欲の低下、不眠など多くの症状を引き起こすうつ病ですが、その患者数は年々増加しており、2014年にはうつ病を含む気分障害の患者数は約111万人にものぼっています。(※)

その生涯有病率は3~7%ともいわれ、ストレスがたまりやすい現代社会では誰にでもかかる可能性のある病気です。

かくいう私もうつ病の経験者です。

症状がひどい時は生活しているだけで非常につらい状態でした。

しかし、病院での治療を続けることで、現在では復職も果たし症状もほぼ完治しています。

うつ病は場合によっては自殺も引き起こしてしまう危険な病気ですが、早期に発見し治療を始めればその可能性を下げることができます。

そのためには患者さん自身はもちろんのこと家族、友人、同僚などまわりの人が正しい知識を持ち、支えてあげることがとても大切です。

今回は、このうつ病の症状やその原因について、筆者自身の経験も交えながらご紹介していきます。

平成26年患者調査(厚生労働省)







1.うつ病の症状

①精神症状

うつ病の代表的な症状はやはり抑うつ感憂うつ感などの精神症状です。

健康な人でも嫌なことや辛いことがあったときは、大なり小なり気分が落ち込み憂うつになることはあります。ただ、通常は休息をとったり時間が経つにつれて自然と回復します。

しかし、うつ病の憂うつ感はこれとは比べ物にならないほど強く、しかも消えることなく長く続きます。

また、何か悲しい出来事がないのに、あるいは楽しい話をしているはずなのに悲しみが沸き上がってしまう悲哀感、極度の不安や焦燥感に駆られる苦悶感、そして、行動の意欲はあってもこれを行うエネルギーが沸いてこない意志発動性の低下も特徴的な精神症状です。

さらに重症の場合には、死にたくなる、消えてなくなりたいといった自殺願望妄想が生じることもあります。

ほかにも、イライラする考えがまとまらない思考力や集中力の低下今まで好きだったこともしたくなくなる自責感などの精神症状としてあらわれることもあります。

日本イーライリリー株式会社が行ったうつ病患者の調査icon-external-link によると、これらの精神症状は非常に高い確率で複数が重なってあらわれることがわかっています。

特に死にたいと思う自殺願望も70%以上の人が感じているので注意しなければなりません。

icon-check-circle-o うつ病に関する患者調査

精神症状 割合
いつもなら楽しいことが、気がすすまない。やる気がでない。 90.1%
ものごとを悪い方向に考えてしまう。 87.0%
気分が重苦しい。泣きたくなる。 83.8%
ちょっとしたことが不安で、どきどきする。いてもたってもいられなくなる。 83.8%
自分のことなんかどうでもいい、消えてなくなりたい。死にたいと思う。 73.9%
人の話をきいても本を読んでいても、内容が頭に入ってこない。 67.7%

※うつ病患者のうち、その症状があらわれた人の割合を示しています。
※うつ病に関する患者調査(日本イーライリリー株式会社)を参照し、筆者が編集しています。

これらの症状は午前中に重くなり、午後には軽くなる日内変動があるのもうつ病の特徴です。

②身体症状

うつ病というと精神症状ばかりが注目されてしまいますが、身体症状も見逃すことはできません。

うつ病の代表的な身体症状は、食欲低下不眠です。この二つの症状はうつ病であれば必ずあらわれます。

うつ病になると、食欲は徐々に低下し、食べたとしても砂を食べているような食感になりおいしさを感じることができません。

そして、食が細くなるため体重が減少してしまう場合も多くあります。

また、寝つきが悪くなるといった不眠も同時に出現してきます。

不眠といってもタイプがあり、寝つきが悪くなる入眠障害以外にも、途中で目が覚める中途覚醒や早く起きすぎてしまう早期覚醒、眠りが浅い熟眠障害としてあらわれることもあります。

その他、うつ病の症状として身体にあらわれるものは意外と多くあり、以下のような症状が挙げられます。

頭痛、疲労感・倦怠感、肩こり、しびれ感、めまい、微熱、吐き気、胃痛、呼吸困難、発汗、性欲減退、便秘・下痢など

うつ病の発症初期は憂うつ感などの精神症状よりも先にこれらの身体症状、特に食欲低下と不眠があらわれますので、うつ病の早期発見にはこの身体症状を見逃さないことが大変重要となります。

なお、この身体症状が先にあらわれ精神症状が目立たない状態のことを仮面うつ病と呼びます。

仮面という名前のせいで意味が誤解されることが多いですが、身体症状が目立つというだけでうつ病と違いはなく治療法も変わりません。

2.うつ病の原因

①うつ病の原因

うつ病の原因は明確に解明されているわけではありませんが、脳内伝達物質の機能がうまく働かないことによって起こると推測されています。

脳は、無数にある神経細胞同士がセロトニンノルアドレナリンといった神経伝達物質を一方がこれを放出し、そして受け手側の神経細胞が受け取ることで情報のやり取りしています。

うつ病の場合はこの時放出される神経伝達物質が減少して情報がうまく伝わらなくなり、人の気分や感情に影響を与えていると考えられています。

また、うつ病の発症には遺伝も大きく関係しているといわれています。

最近の研究では、うつ病者の第一親族では健常者に比べて発症率が4.5倍高いことや、双子の場合において、一方が発症した際にもう一方も発症する確率は二卵性双生児よりも一卵性双生児の方が高いこともわかっています。(※)

このような遺伝的要素に合わせて、親しい人との死別や離婚、離職などストレスとなる出来事が引き金となって脳がパンクし、正常に働かなくなることでうつ病が発症すると考えられています。

ストレスとなる出来事は、その人の環境や人間関係に影響されるので、悪いことばかりではなく結婚や昇進、出産など一見すると良いことが原因となることもあります。

※57の症例で見つかる、うつ病の抜け出し方 確実に治るうつ、治らないうつ 森下茂

②うつ病になりやすい人

一般的には、まじめで正直几帳面責任感・正義感が強い完璧主義凝り性といった性格の人などがうつ病になりやすいといわれています。

しかし、これらはあくまでなりやすい『傾向』があるというだけで絶対的なものではなく、これらに当てはまらない人が発症するケースもあります。

また、何をストレスと感じるかは人それぞれであり誰にでも発症する可能性はあります。

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3.筆者の体験

①症状について

うつ病の症状に関して、私が一番最初におかしいと感じたのは、本を読めなくなったことでした。

すごく簡単な文章でも読んだのに頭に入ってこないのです。何度も同じ文章を繰り返し読んでも理解できずすぐに忘れてしまいます。

当時は転職活動中だったのでいろんな情報を収集しなければならず、本を読んだり、インターネットで調べ物をするのですがどれも読むことができなくなり非常に焦りました。

このことも一つの要因となり転職活動がうまくできないので常に強い焦燥感を感じていました。

文字で書くと伝わりづらいですが、通常の時に感じる焦燥感とはわけが違い、どうしようという思いがずっと頭の中を占めていて他のことを考えられなくなります。

このような状態なので当然夜も眠れないし、食欲も低下します。

特に、夜寝ようと思っても寝付けないという入眠障害がひどく、昼間の活動にも大きな影響が出ていました。そのため当時はアルコールに頼っていた部分がかなりあります。

私の趣味は音楽を聴いたり、ギターを弾くことだったのですが、気分転換にこれらをしようという気にもならず、まったく触れなくなりました。また、それができない自分にも嫌気がさしてきます。

次第にテレビを見ても不快にしか感じなくなり、悲しいニュースを見たり、また、不意に自分の過去の出来事を思い出して涙を流してしまうことも多々ありました。

②原因・きっかけについて

私の場合、うつ病発症のきっかけは仕事転職活動です。

転職前の仕事があまりに残業時間が長くそれが何年も続きました。そして、世間の注目を集める仕事でもあったためプレッシャーがかかり、また、職場の体制も十分ではなく自分一人に責任がのしかかってしまう状況でした。

このままではまずいと危機感を感じ、転職活動を始めることとなります。

前述したとおり、転職活動は困難を極めましたが将来のことを考えるとやめることもできず何とか続けていました。

そして、ある企業で最終面接まで進み、役員と面接を行いましたがそれが運悪くいわゆる圧迫面接というものでした。

ストレスがかかる仕事でしたのでその耐性を見るためなのでしょうが、大分ひどい人格否定のような質問が多々ありました。

その場は何とかしのぎ、内定をいただくことができたのですが精神状態は最悪でした。

他の企業の面接も控えていたのですが受けられる状態ではなかったのですべてキャンセルしてしまうこととなります。

このころになると精神も不安定で外に出るのもおっくうとなってしまったので、このままでは仕事を始めることさえできないと感じ、内定を辞退して精神科を受診することとしました。

私の場合、このようなストレスとなる体験がきっかけではありましたが、うつ病に遺伝は正直なところ関係があると思っています。私の家族でも姉・兄もうつ病を発症しています。

これが体質的な問題なのか過ごしてきた環境が問題なのか特定することはできませんが、家族の発症は自分にもかなり影響があると感じています。

性格に関しては私の場合、完璧主義、そして、凝り性といううつ病になりやすい典型的な性格でした。

しかし、運動部出身ということもあり、ストレス耐性は自分では高いと思っていましたし、周りからそう言われたこともあります。

また、お酒を飲む場が好きでストレス解消は得意な方だと思っていました。

今考えてみれば症状は前職の頃からあらわれていたものの、自分がうつ病にかかるとは全く思ってもいなかったのが治療が遅れてしまった原因です。

ですので、自分ではかかるはずがないと思っていても発症してしまうのがうつ病の恐いところだと思います。

まとめ

以上、うつ病の症状やその原因についてご紹介してきました。

うつ病は、精神症状や身体症状など多くの症状があらわれますが、意外と本人は気づきづらく、何より気づいても認めたくないものです。

また、うつ病を扱う精神科は、心を取り扱う病院なのでハードルも高くなかなか受診しようという一歩が踏み出しづらい面があります。

しかし、現在のうつ病治療では、抗うつ薬といった薬も種類が増え、症状の改善に有効な場合も多いです。

まず、本人自身がうつ病の存在を知り、その症状があらわれたらすぐに病院へ行くことはもちろん重要ですが、周囲の人も本人が気づいていない、あるいは受診をためらっている場合はそれを後押ししてあげることも大切だと感じます。

次回の記事では、このような症状がみられ精神科などの病院を受診した際の診断についてご紹介していきます。

何科を受診するべき?うつ病の病院での診断とその診断基準

うつ病の薬物治療における5つの薬と治療中の過ごし方
薬を使わないうつ病治療、認知行動療法と修正型電気けいれん療法について







参考:
・57の症例で見つかる、うつ病の抜け出し方 確実に治るうつ、治らないうつ 森下茂
・うつ病 正しく知って治す 総監修 野村総一郎
・よくわかるうつ病 診断と治療 周囲の接し方・支え方 尾崎紀夫
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