不眠を起こす病気

まずは自分でチェック。男性更年期障害の主な症状と検査法

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タバコを吸う外国人男性

最近どうも疲れがたまりやすい…
仕事に対して意欲がなくなってきた…
妻の些細な言動にも腹がたってしまう…

あなたが男性でこのような症状に悩んでいるとしたら、男性更年期障害の可能性があるかもしれません。

更年期障害というと女性特有の症状だと思ってしまいますが、実は女性だけでなく男性もかかってしまうことがあるのです。

この男性更年期障害は適切な治療を受ければ悩む症状を効果的に軽減することもできます。

今回は、この男性の更年期障害とはなにか、そしてその症状や検査法についてご紹介していきます。







1.男性更年期障害とは

女性の更年期障害の場合、閉経に伴って女性ホルモンであるエストロゲンが減少することが主な原因となりますが、男性の更年期障害の場合、加齢によって男性ホルモンであるテストステロンが減少することで様々な身体症状や精神症状を引き起こします。

最近では、この男性更年期障害のことを加齢男性性腺機能低下症候群(LOH症候群:late-onset hypogonadism)とも呼び、その患者数は約600万人にのぼるともいわれています。(※)

男性の更年期障害?~LOH症候群~(NHK生活情報ブログ)

テストステロンは、思春期における声変わりや性器の発育、以降の性欲の亢進、筋肉・骨格の成長など男性としての機能を発達させる作用のほか、血管を正常に保つ働きや決断力やコミュニケーション力を高め、ネガティブな感情を抑えるなど精神的な作用まで幅広くカバーしているホルモンです。

このテストステロンは、思春期を迎える10代から急速に増え始め、20代でピークに達し以後は歳を重ねるごとに徐々に少なくなってきます。

加齢によって緩やかに減少していくならば、身体も徐々にその状態に合わせていくことができるので大きな問題は生じませんが、何らかの理由により急激に減少してしまうと、ホルモンバランスが崩れて様々な不調があらわれてきてしまいます。

テストステロンの減少による性欲減退や疲労感・抑うつ感、自律神経が乱れたことによるほてりや発汗、動悸など男性更年期障害の症状は多岐にわたります。

では、なぜテストステロンが急激に減ってしまうことが起きるのでしょうか。

この急激な減少の主な原因は、ストレスです。

男性更年期障害は40~50代に多く起こるといわれていますが、この年代の男性は年齢的にも中間管理職となり、上司と部下の板挟みで非常にストレスを受けやすい時期です。

また、親の介護や子どもの進学・就職、それによる妻との関係などこれまでになかった家庭の変化も同時に起こってきます。

特に、几帳面で努力家といった頑張り屋の性格の人ほどストレスをためやすく男性更年期障害になりやすいといわれています。

このように加齢とともに過剰なストレスを受けることによってテストステロンが減少し、男性更年期障害と呼ばれる各症状があらわれてくるようになってしまうのです。

2.男性更年期障害の症状

男性ホルモンであるテストステロンは身体だけでなく精神状態にも影響を与えているため、男性更年期障害による症状は様々な部分で表出してきます。

①うつ状態などの精神症状

仕事での小さなミスによる激しい落胆、これまでできていたことがうまくできない集中力の低下、何をするにしてもやる気がわかない意欲の低下など男性更年期障害ではいわゆるうつ病と似た精神症状があらわれてきます。

症状の度合いによっては仕事も十分にできなくなり、患者さんの生活や将来に大きな影響を与えてしまう危険な症状です。

また、更年期にあたる40~50代の男性ではうつ病が発症する可能性も高く、うつ状態がうつ病と男性更年期障害のどちらによって引き起こされているのかを判別することは専門の医師でも難しいとされています。

あるいは、この両者の病気が重なり、オーバーラップしていることもあります。

実際に男性更年期外来を受診する患者さんを調べた調査では約48%の人がうつ病と診断がつくことがわかっています。(※)

そのため治療の際には、うつ病と同様に抗うつ薬や睡眠薬などの向精神薬が処方されることもあります。

※男の更年期 奥山明彦

②発汗・動悸などの自律神経失調症状

テストステロンの減少は呼吸や心拍・体温など身体の様々な作用を及ぼしている自律神経のバランスも崩し、自律神経失調症女性の更年期障害と似た身体症状も引き起こします。

暑いわけでもなく急に汗が出る、顔がほてるといった女性の更年期障害の主な症状であるホットフラッシュや何もしていないのに心臓がドキドキする動悸、ほかにも手足のしびれめまい耳鳴りといった症状としてあらわれてきます。

これらの症状に悩み、循環器系や耳鼻科などその症状の専門科を受診し検査を受けても、男性更年期障害による症状の場合は基本的に異常は発見されないため、原因がわかるまで病院を転々としてしまうといったことも多くあります。

③睡眠障害

寝つきが悪い、朝早く目が覚めてしまう、途中で目が覚めてしまうなどの睡眠障害も男性更年期障害にみられる代表的な症状の一つです。

これには、睡眠を促すホルモンであるメラトニンの加齢による減少やうつ病、そして、この年代に多く見られる前立腺肥大症icon-external-link による夜間頻尿などが原因となってこのような睡眠障害があらわれてきます。

睡眠障害は、眠気によって日中の活動を低下させたり、また、睡眠障害がうつ病の原因となるなど患者さんの生活の質を大きく下げる要注意な症状です。

④性機能障害

抑うつ感などの精神症状や発汗などの身体症状とともに男性更年期障害で重要な症状がED(勃起障害)などの性機能障害です。

性機能障害にはEDのほかにも、性交をする意欲がわかない性欲低下早漏遅漏、そもそも射精ができないといった射精障害、射精時の充足感が得られないオーガズム障害などがあり、これらの症状は単独ではなく複数の症状が重なることも多くみられます。

このほかにも、筋肉の減少による内臓脂肪の増加筋肉痛ひげの伸びが遅くなる疲労感などの症状としてあらわれることもあります。

以下のグラフは、病院でLOH症候群の治療を受けている患者さんにみられる主な症状の内訳です。

男性更年期障害に多い症状

加齢男性性腺機能低下症候群 (LOH症候群)治療状況に関するアンケート報告書(株式会社マーケティングセンター)より筆者が編集
※クリックすると拡大できるようになります。

このグラフからもわかるように、憂うつ感イライラ感といった精神的な症状から性欲減退といった性機能障害が実際の治療現場でも多くみられることがわかります。

もしこれらの症状にあてはまるようならば、速やかに病院での正確な検査を受けることをおすすめします。

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3.男性更年期障害の検査・診断

①男性更年期障害は何科を受診するのか

女性の更年期の場合、女性の病気や疾患などを専門とする婦人科があるので受診するべき病院は比較的わかりやすいのですが、男性の場合は何科を受診すればよいのでしょうか。

基本的には、男性更年期障害の疑いがある場合は排尿や性機能を専門とする泌尿器科を受診することになります。

最近では泌尿器科だけでなく男性更年期外来メンズヘルスクリニックを標榜する医療機関が増えてきていますので、これらの病院も選択肢の一つとなります。

また、抑うつ感や不安感、睡眠障害など精神症状が強くあらわれている場合は、男性更年期障害ではなくうつ病といった精神疾患の可能性もあります。

その場合は、精神科心療内科を受診することも視野に入れておきましょう。

②男性更年期障害の検査・診断

では、実際に泌尿器科などの病院を受診した場合の診断方法検査法について触れていきます。

男性更年期障害における診断の大まかな流れは以下の通りになります。

男性更年期障害の診断の流れ

まず、医師の診察に入る前に男性更年期障害かどうかをおおまかにふるい分けするスクリーニングとして、問診票の記入をします。

多くの医療機関で男性更年期障害の診断に使われているのはドイツのハイネマンという医師が考案した男性更年期障害症状スコア(AMS)と性機能障害を確認するための国際勃起機能スコア(IIEF5)です。

これらは現在の自分の状態について質問に答える形式の簡単なテストなので病院だけでなく自分でも行うことができます。

もし男性更年期障害かもしれないと不安に思っている方は、このAMSとIIEF5を測定できるページを作成しましたので、以下リンクからチェックしてみてください。

AMSを測定する

IIEF5を測定する

そして、この記入した問診票をもとに、どんな症状に悩んでいるか、性機能や身体、精神の状態などを診察において詳しく聴き取ります。

問診票や診察を行い、男性更年期障害の可能性が高いと判断すれば、今度は原因となるテストステロンの血中濃度を確かめるため血液検査を行います。

※本来であれば総テストステロンや遊離型テストステロンなどもっと細かな説明が必要ですが、わかりやすさを重視して割愛させていただきます。

また、男性更年期障害は糖尿病高脂血症などの生活習慣病の要因ともなるため、希望者には血糖やコレステロール・中性脂肪などの数値を調べることもあります。

そして、血液検査によりテストステロンの数値が低いとわかった場合には、男性更年期障害の主な治療法であるホルモン補充療法(HRT)ができるかどうかの検査が行われます。

ホルモン補充療法は原因であるテストステロンを補充する治療法ですが、もし前立腺がんにかかっていた場合、がんの進行を助けてしまう可能性があるため、これを除外する検査が必ず行われます。

この前立腺がんを確認するための検査には、直腸から医師が直接触れて確かめる前立腺指診と血中のPSA濃度を調べるPSA検査が主に行われます。

PSAとは、前立腺特異抗原という物質で、前立腺がんがある場合にこれが大量に血液中に放出されます。

このPSAの血中濃度を調べることで、症状があらわれない早期の段階から前立腺がんがあるかどうかを確かめることができます。

これらの検査を行い、前立腺がんの疑いがなく、そして患者さんの同意を得られればテストステロンを補充するホルモン補充療法(HRT)などの治療が行われていくことになります。

まとめ:不安があれば悩まず病院へ

以上、男性更年期障害とは何か、そしてその症状や検査法についてご紹介してきました。

近年では男性更年期障害についてマスコミも取り上げる機会が増え、認知度は上がってはいますが、いまだこの病気自体知らないという人も多くいます。

株式会社eヘルスケアが2016年に行った調査では、30歳以上の男性の内、6割の人が男性更年期障害について全く知らないと回答しています。

男性更年期障害の認知

男性更年期障害に関する消費者・医師調査(株式会社eヘルスケア)より筆者が編集
※クリックすると拡大できるようになります。

男性更年期障害で起こる症状は年のせいだと多くの方が仕方ないとあきらめてしまいますが、適切な治療を受ければこれらを軽減することは十分に可能です。

必要なことは男性更年期障害の知識を持ち、これは更年期障害によって引き起こされる症状かもしれないという不安を持つことです。

もしこれらの症状で悩む方は、一人で抱え込まず、専門の医師の力を借りてみることも選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。

次回では、男性更年期障害と診断された後の病院での治療についてご紹介していきます。

ホルモン補充療法やバイアグラなどの男性更年期障害の4つの治療法







・男の更年期障害を治す 天野俊康
・男の更年期 奥山明彦
・これで安心!前立腺がん・前立腺肥大症~自分に合った治療法を選ぶ 監修 市川智彦
男性の更年期障害?~LOH症候群~(NHK生活情報ブログ)
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