睡眠障害

実は多い大人のおねしょ。夜尿症の原因と3つの治療法

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

大人のおねしょ

実は大人になった今でもおねしょが治っていない…治したいけど今更恥ずかしくて病院にも行けない…

おねしょというと赤ん坊がするもので大人は治っているのが当然だと思っている方は多いのではないでしょうか。

たしかに、夜のおねしょは幼稚園や小学生になる前にはしなくなる場合がほとんどです。しかし、実際は小学生以降の大きくなっても、あるいは大人になってもおねしょが治っていない人も多数います。

でも、大人のおねしょというと恥ずかしいもので他人に相談することはもちろん、病院にも行きづらいものです。家族やパートナーでさえ知られたくないと思う方がほとんどだと思います。

しかし、大人になっても続くおねしょは夜尿症という病気です。適切な治療をすれば治ります

今回は、この夜尿症の原因や治療法についてご紹介します。







1.夜尿症とは

大人のおねしょ 夜尿症とは

①夜尿症とは

これまでおねしょという表現を使ってきましたが、おねしょと夜尿症は厳密には違います。

どちらも夜の睡眠中にいわゆるおもらしをしてしまうことですが、おねしょは一般的に成長に伴い3,4歳に治ります。この年齢以下であれば夜間のおもらしは当然あるものであり病気ではありません。

しかし、この年齢以降であれば異なります。通常治っているはずの5歳以上でもおもらしを、具体的には月平均1~2回以上してしまう場合を「夜尿症」と呼びます。

②夜尿症の発症率

大人のおねしょ 夜尿症発症率

ガイドラインに基づいた最新の夜尿症診療より筆者が作成

夜尿症は実はそれほど珍しい病気ではありません。

5歳には通常おねしょは治ると書きましたが、実際は5歳になっても15%の子供が夜尿症でおねしょは治っていません。

年齢を重ねるごとにその割合は少なくなってきますが、小学校低学年で10%中学校三年生になる15歳でも1%、そして、成人の場合0.5%が夜間のおねしょに悩まされています。

0.5%というと200人に1人ですので、同じ学校を出た同級生のうち1、2人くらいは夜尿症にかかっていることになります。

また、マイナビウーマンが実施した調査icon-external-link では、最後におねしょをした年齢を聞かれたところ2.4%の人が18歳以上と答えています。

大人のおねしょ 最後におねしょをした年齢

あなたは何歳までおねしょしてた?大人になってやっちゃった経験は?「18歳以上2.4%」(マイナビウーマン)より筆者が作成
※クリックすると拡大できるようになります。

これはあくまでおねしょであり厳密には夜尿症と少し違いますが、多くの人が大きくなってからもおねしょをした経験があります。

ほかにもグラビアアイドルの今野杏南さんもテレビ番組の中で25歳当時おねしょをしてしまったことを告白しています。(※)

グラドルの今野杏南が“大人おねしょ”を告白(livedoor NEWS)

このように大人になってもおねしょをしてしまう人は実は多くいます。おねしょに悩まされている方はまずこの事実を知っていただきたいです。

2.夜尿症の原因

大人のおねしょ 原因

夜尿症になってしまう原因は、夜間に尿がたくさんたまってしまう夜間多尿尿をためる膀胱の容量低下の2つが考えられます。

①夜間多尿

通常、夜眠っているときは抗利尿ホルモン、つまり尿をあまりつくらないようにするホルモンが分泌され、尿自体の量が抑えられて、睡眠中に尿がたまらないようになっています。

しかし、夜尿症の場合、この抗利尿ホルモンがうまく分泌されず眠っている時でもたくさんの尿が溜まるようになってしまいます。

抗利尿ホルモンは脳の視床下部というところでつくられますが、視床下部は感情をコントロールする部分でもあります。ですので、過度にストレスがかかるとその影響が抗利尿ホルモンにも及び正常に分泌されなくなってしまいます。

②膀胱の容量低下

通常、人は寝ているときの膀胱の容量は起きている時と比べて約1.5倍も大きくなり、寝ているときは尿をためておくことができます。

この膀胱の容量は自律神経が調節していますが、夜尿症はこの自律神経が正常に働かずに膀胱の容量が増えない、もしくは低下することによって起こります。

自律神経の不調は、主に生活リズムの乱れから生じます。夜更かしや朝寝坊、深夜の食事など不摂生な生活を送っていると自律神経はうまく働かなくなってしまいます。

3.夜尿症の治療法

大人のおねしょ 治療法

夜尿症で行われる治療は、まず最初に夜水分をとりすぎないなどの生活指導から始まります。これで収まらない場合は、薬を使った薬物療法、あるいは、おねしょをすると自動的に知らせてくれるアラームを使ったアラーム療法が行われます。

①生活指導

大人のおねしょ 生活指導

夜尿症を治療する際に、まず行われるのが生活指導です。軽症の場合、生活習慣を変えることで症状が改善することも多くあります。

生活指導は薬物療法などと違って自分でできる治療法です。夜尿症でお困りの方はまずこれから説明する内容を試してみてください。

 icon-check-circle-o 規則正しい生活リズム

働いていて忙しいと、休日は昼過ぎまで寝てしまったり、睡眠時間が短く朝早く起きれないために朝食を抜いてしまうなど生活リズムはどうしても狂いやすくなってしまいがちです。しかし、夜尿症を治すにはこれらの生活習慣はNGです。

夜尿症は自律神経がうまく働いていないことが影響して発症することは先ほど述べました。自律神経の不調の原因は、主に生活リズムの乱れです。

夜遅くまで起きている、昼まで寝ている、朝食を抜くなど不規則な生活を送っていると自律神経はうまく働かなくなってしまいます。

これを機に普段の生活習慣が乱れていないかを振り返ってみましょう。

icon-check-circle-o 夕食後の水分は控える

水分をたくさんとるとトイレに行きたくなるという経験は誰にでもあると思います。これと同様に眠る前に水分をたくさんとると夜尿はどうしても起こりやすくなります。

ですので、夕食後から眠る前までは水分はできるだけ控えるようにしましょう。

摂取した水分が尿になるまでに約5時間ほどかかります。12時に寝るのであれば7時ぐらいには夕食を済ませて水分を摂取するのをやめて、眠る前に尿を出し切ってしまうのが夜尿を防ぐには有効です。

icon-check-circle-o アルコール・カフェイン・塩分は眠る前に摂取しない

大人の夜尿症で気を付けなければならないのはお酒です。

夕食時の晩酌や眠る前の寝酒を飲んでいる人は多くいると思いますが、お酒には利尿作用があり夜尿を促してしまう効果があります。

仕事でストレスが溜まってお酒でスカッとしたい気持ちは非常によくわかりますが、夜尿症を治すためにはできるだけ控えるようにしましょう。

お酒と同じように利尿作用があって注意しなければならないのが、カフェイン塩分です。

これらを眠る前に摂取すると尿の量が増加して夜尿が起こりやすくなります。カフェインを含むコーヒーや塩分を多く含むスナック菓子なども夕食以降は控えるようにしてください。

icon-check-circle-o 寒さ対策は万全に

生活習慣の改善のほかに意外と忘れがちなのが寒さ対策です。

人は、寒くなると腎臓の血液量が増え、汗もかかなくなり尿の量が増えやすくなります。また、寒さは自律神経の働きにも影響し膀胱の容量調節がうまくいかなくなることもあります。

寒くなる冬には、寝室や布団の中をできるだけ冷えさせないよう電気毛布や湯たんぽなどを活用して温めてから眠るようにしましょう。

なお、電気毛布をつけっぱなしで眠るのは睡眠の質を下げる原因となるので注意してください。

②アラーム療法

大人のおねしょ アラーム療法

生活指導を行っても症状が改善しない場合、これから説明するアラーム療法や薬物療法が行われることになります。

アラーム療法とは、眠る時に下着にセンサーを付けて、夜間にこれが濡れると自動でアラームが鳴る装置によって夜尿を防ぐ治療法です。

このアラームによって繰り返し夜中に起きることで、尿が出そうになったら自然と起きれるようになります。また、膀胱で蓄える尿の容量も増える効果も期待できます。

このアラーム療法は多くの場合に夜尿症の治療に効果があり、約2/3の患者に有効であるといわれています。

アラーム療法は、夜尿が起こらなくなるまで使用を継続します。ただ、この期間が意外と長く、最低でも14日間、一般的には3、4か月はかかるといわれています。(※)

※ 夜尿症診療ガイドライン 日本夜尿症学会

③薬物療法

大人のおねしょ 薬物療法

夜尿症の治療で使われる薬は、抗利尿ホルモン製剤自律神経調整薬(抗コリン薬)三環系抗うつ薬の3種類があります。

icon-check-circle-o 抗利尿ホルモン製剤:デスモプレシン

これらのうちまず第一選択として推奨されるのが抗利尿ホルモン製剤であるデスモプレシンです。

この薬は、一度つくられた尿の水分を再び身体の中に戻す効果があり尿の量を減らすことができます。

特に1回の夜尿の量が多いタイプの患者に有効で、およそ80%の人に効果があらわれるといわれています。(ここでいう効果ありとは、夜尿頻度が半分以下になったことを示します。)

副作用はほとんどありませんが、まれに水中毒という状態になってしまうことがあります。

水中毒とは、水分の摂取しすぎで起こる頭痛や嘔吐のことで、この薬の効果である体内への水分吸収が行き過ぎてしまうと起こります。しかし、生活指導の中で夜間の水分摂取を抑えていれば基本的には水中毒は起こりません。

icon-check-circle-o 自律神経調整薬(抗コリン薬):バップフォー

自律神経の一つである副交感神経は、膀胱の中の尿の量が一定になると、自動で膀胱を収縮し排尿する働きがあります。自律神経調整薬(抗コリン薬)はこの副交感神経の働きを弱めて夜間の排尿を防ぐ効果があります。

特に尿の量は通常でも膀胱の容量が低下しているために起こる夜尿症に有効であるといわれています。また、抗利尿ホルモン製剤であるデスモプレシンと併用すると夜尿の頻度が減ることが報告されています。

副作用としては、便秘や腹痛、食欲低下などが挙げられますが、減薬や休薬、食事改善でほとんどの場合改善されるといわれています。

icon-check-circle-o 三環系抗うつ薬:クロミプラミン・イミプラミン・アミトリプチリン

アラーム療法やデスモプレシンによる薬物療法に効果がない時に使われるのが三環系抗うつ薬です。

この薬が夜尿症に効くメカニズムは詳細には解明されていませんが、膀胱の筋肉を柔らかくする作用によって膀胱の容量を高めたり、抗利尿ホルモンの分泌を促すことで夜尿症に効果があると考えられています。

副作用としては、まれに口の渇き・便秘・悪心・不眠などが起こることがありますが、服用をやめることでこれらの症状は改善します。ただ、あまりに大量に摂取したために心臓障害が起こり死亡した例もあるので注意が必要です。(※)

※ 夜尿症診療ガイドライン 日本夜尿症学会

夜尿症の治療は何科に行けばいいの?

大人のおねしょ 病院 何科

夜尿症の治療は、子どもであれば小児科、大人であれば泌尿器科で治療を受けるのが一般的です。しかし、夜尿症の治療の経験が少ない病院もあるので事前に電話などで確認する必要があります。

また、夜尿症で悩む方はあまり近所の人や知り合いに知られたくないので比較的遠い病院がいいと思う方が多いと思います。

夜尿症の専門医を地域ごとで探したいという方は、夜尿症ナビというサイトで夜尿症の相談ができる医療機関を検索することができます。

icon-external-link 相談ができる医療機関(夜尿症ナビ)

このサイトは、飲料で有名なキリンのグループ会社である協和発酵キリン株式会社が運営しているので信頼できると思います。

病院での治療を望まれる方は確認してみてください。

まとめ:夜尿症は病気です。適切な治療を受けましょう。

以上、大人のおねしょ、夜尿症の原因や治療法についてご紹介してきました。

冒頭でも書きましたが、大人のおねしょは夜尿症という病気です。

おねしょをしたからといってその方の育ち方が悪かった、あるいは、その方自身に問題があるというわけではなく、200人に1人の割合でかかる一般的な病気です。

病気ですので生活習慣を改善したり、病院での治療を行えば症状を解消・軽減することができます。

辛い思いをこれ以上続けないためにも、一度病院での適切な治療を受けることをおすすめいたします。

保存版!自分で簡単にできるおすすめのストレスの発散方法10選 










参考:
・夜尿症診療ガイドライン 日本夜尿症学会
・おねしょ 夜尿症を治す 相川務
・ガイドラインに基づいた最新の夜尿症診療 池田裕一
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*