睡眠障害

朝起きられないのはなぜ?概日リズム睡眠障害の7つの分類とその治療法

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概日リズム睡眠障害

早く寝ようと思ってもどうしても寝付けない、朝頑張っても起きられないと悩んでいる方、その原因はもしかして『概日リズム睡眠障害』かもしれません。

眠れないというとすぐ思いつくのは不眠症ですが、睡眠障害はこれだけではありません。もしかしたら睡眠と覚醒のリズムが狂ってしまい眠る時間がずれてしまっている可能性があります。

今回は、この睡眠・覚醒リズムの狂いから生じる『概日リズム睡眠障害』についてご紹介します。

1.概日リズム睡眠障害とは

そもそも人は明るい昼間は活発に活動して、暗い夜になると眠くなるという『体内時計』を持っています。

体内時計は『概日リズム(サーカディアンリズム)』と呼ばれる約25時間周期のリズムを持っていて、一定の時間になると自然に眠くなり、一定時間眠ると自然に目が覚めるようにできています。

1日の時間は24時間ですから、この概日リズムと約1時間のずれが生じますが、通常は朝の太陽の光を浴びることによって日々このずれを調節しながら過ごしています。

この概日リズムが遅れて夜眠れず朝起きれなくなったり、逆に概日リズムが早くなり朝早く起きすぎてしまったりと、通常多くの人が眠りに入り起きる時間とずれが生じてしまうのが『概日リズム睡眠障害』です。一番身近な例でいえば、海外旅行で起こる『時差ボケ』もこの概日リズム睡眠障害に含まれます。

2.概日リズム睡眠障害の分類

概日リズム睡眠障害はそのずれ方や症状などによって大きく7つの種類に分類されます。

①睡眠相後退型(睡眠相後退症候群)

概日リズム睡眠障害 睡眠相前進症候群

概日リズム睡眠障害で最も生活に支障が出てしまうのが、夜眠る時間が遅くなって朝起きられなくなる『睡眠相後退型(睡眠相後退症候群)』です。また、概日リズム睡眠障害の中で最も多い症状で、有病率は一般人口の 0.17%、高校生の 0.4%と推定されています。(※)

学生の時に夜更かしを続けて夜型になってしまう人は多くいると思いますが、こうした人は例えば就職したりすれば通常の朝方生活に治すことができます。睡眠相後退型は、いくら努力しても朝方生活を維持できない場合に診断されます。

睡眠相後退症候群の原因は、光によって体内時計を調節する能力が弱まっている、あるいは体の時計遺伝子に問題があるなどが考えられますが、はっきりとしたことはわかっていないのが実情です。

治療法としては、光療法時間療法、そして薬物療法があります。

光療法とは、人工的な強い光を浴びて睡眠・覚醒リズムを整える治療法です。遅れている睡眠・覚醒リズムを早い時間に戻すには、朝起床後に光を浴びることが重要です。個人差はありますが、3000~10000ルクスの光を朝7時ごろに1時間以上、これを毎日浴び続けることが必要です。(ちなみに曇りの日の屋外が約10000ルクス程度です。)

次の時間療法とは、正常な睡眠・覚醒の時間帯になるまで眠る時間を徐々にずらしていく方法です。一般的に眠くないのに早めに眠ることは難しいですが、眠る時間を遅らせることは比較的簡単にできます。夜遅い時間に寝ている状態から1日あたりだいたい3時間ずつずらしていきます。

概日リズム睡眠障害 睡眠相後退症候群 時間療法

※クリックで拡大できます

例えば上の図のようにいつも夜2時ごろに寝ているなら、次の日は5時に、その次の日は8時にと寝る時間を3時間ずつすらしていくと7日目には23時に就寝することになります。

そして、一般的な就寝時間帯である23時に就寝時間を固定化していくことで社会的に活動できる睡眠・覚醒リズムを整えるのが時間療法です。ただ、この状態を維持することは難しい場合が多いので、光療法と合わせて行うことが必要になります。

最後に薬物療法ですが、使われるものとしては睡眠薬メラトニンなどです。

睡眠薬は、すぐに効果が出る超短時間型のものが用いられ、一般的な就寝時間に強制的に眠ることができるようにします。

メラトニンとは、本来脳の松果体というところから分泌される物質で、夕方から夜にかけて分泌が増えて睡眠を促す作用があるものです。

これを直接服用するとなると、メラトニンを含んだサプリメントとなりますが、日本では販売が禁止されているので海外から個人輸入する必要があります。

しかし、日本でもこのメラトニンの作用を模倣したラメルテオンという睡眠薬があり、これが睡眠相後退症候群に有効であるといわれています。

健康づくりのための睡眠指針 2014

②睡眠相前進型(睡眠相前進症候群)

後退型とは逆に睡眠時間帯が早くなりすぎてしまうのが睡眠相前進症候群です。夜7時に寝て午前2時に起きてしまうというような例が挙げられます。

この症状は高齢者に多く、中高年での有病率は約1%ほどといわれています。(※)

ただ、朝から日中の時間帯には起きていることができるため、後退型と違い社会生活を送る上で深刻な問題が生じることは少ないです。

治療法としては、睡眠・覚醒リズムを遅らせるため光療法を就寝前に行うことや、サングラスなどを使って朝の一定時刻まで光を浴びないようにすることが有効です。

健康づくりのための睡眠指針 2014

③時差型(ジェットラグ型)

概日リズム睡眠障害 時差型

時差型とは、通常3時間以上の時差がある国にジェット機で移動することにより、現地との時差で体内時計が狂ってしまう場合のことを指します。

時差型では、なかなか眠れない入眠障害や、昼間の眠気・疲労感、時によっては頭痛や抑うつ感、食欲の変化、便秘・下痢などが症状として現れます。

解消法としては、出発前から時差を想定した睡眠をとっておくことが効果的です。

東側への移動であれば事前に早めに寝ておき、反対の西側への移動であれば夜更かしをしておくことである程度対処できます。

また、現地での朝には光をしっかり浴びることや現地時間に合わせた食事をとること、そして、到着時には時計を現地時間に合わせることも有効です。

④交代勤務型(交代勤務障害)

交代勤務型とは、ずっと深夜のみの勤務ではなく、日勤と夜勤が繰り返される勤務形態、いわゆるシフトワークが原因となって睡眠・覚醒リズムがずれてしまう場合を指します。

症状は時差型と同様に、眠気や疲労感、食欲の変化、便秘、下痢などです。交代勤務型で働いている人の約8割がこれら何らかの症状を抱えているといわれています。

睡眠・覚醒のリズムが日々変わってしまうことを避けられないため治療は非常に困難といわざるを得ませんが、日勤→準夜勤→深夜勤というように一日が長くなる方向でシフトを組むことで負担を軽減することができます。

また、夜勤前に光を強く浴び覚醒度をあげ、夜勤後の朝には極力光を浴びないようにサングラスをするといったことも効果があります。

⑤不規則睡眠・覚醒型

不規則睡眠・覚醒型は、1日の睡眠時間や睡眠時間帯がバラバラで規則性がなく、睡眠・覚醒リズムがなく様々な時間帯で眠くなってしまうタイプです。

脳の障害、あるいは病気で療養中など社会同調の乏しい環境にずっといることなどが原因で起こるといわれています。

⑥自由継続型(フリーラン型)

自由継続型とは、24時間より1時間ほど長い周期で睡眠・覚醒リズムが固定されている場合を指します。もちろん1日は24時間なので、日々1時間ずつ睡眠時間帯がずれていってしまいます。

治療法としては、基本的に後退型と同様に光療法や時間療法、薬物療法が用いられます。

⑦身体疾患による概日リズム睡眠障害

これまで述べてきたもの以外にも、認知症やパーキンソン病、視覚障害、肝性脳症などの疾患によって睡眠・覚醒リズムがずれることがあります。

まとめ:不安を感じたら病院へ相談を

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以上、概日リズム睡眠障害の症状や分類についてご紹介してきました。

これらの睡眠・覚醒リズムのずれは、会社や学校への遅刻や日中の居眠りといったミスを起こしてしまい、時として周囲から怠け者とレッテルを貼られてしまうこともあります。

しかし、概日リズム睡眠障害は病気であり、自分ではどうしようもないことです。

努力しても一般的な睡眠時間帯を守れないと悩む方は、無理をせず専門医に相談することをお勧めします。




参考:
・好きになる睡眠医学 内田直
・睡眠障害のなぞを解く 櫻井武
・不眠の悩み解決BOOK 加賀英人
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