睡眠時無呼吸症候群

CPAPって何?睡眠時無呼吸症候群の3つの治療法とメリット・デメリット

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睡眠時無呼吸症候群 治療

前回の記事icon-external-linkでは、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査や診断法について説明してきました。(以下では、睡眠時無呼吸症候群のことをSASと呼びます。)

今回は、検査を行いSASと診断された後どのように治療を行っていくか、医療機関におけるその代表的な3つの治療法についてメリット・デメリットをご紹介していきます。







1.CPAPによる治療

睡眠時無呼吸症候群 治療 CPAP

photo credit: .Larry Page CPAP via photopin (license)

①CPAPとは

CPAPとは、正式には持続的陽圧呼吸療法(Continuous Positive Airway Pressure)といい、 睡眠時に上の写真のように鼻にマスクを着け、空気を気道に直接に送り込み気道を広げることによって強制的に呼吸を確保する装置です。

このCPAPは病院から器具をレンタル自宅で使用することができるので入院する必要は基本的にはありません。

SASの治療では、まずこのCPAPが治療法として最初に検討されます。

②CPAPの効果・メリット

CPAPは即効性のある治療器具で、つけ始めたその日から快適な眠りを実感できることもあります。酸欠状態にならず質の高い睡眠を得られるようになることで、血圧の低下日中の眠気解消の効果もあります。

また、CPAPを継続してつけて寝ていると、空気が日々気道を広げることで気道が広がったままになることもあります。

CPAPの効果は実際に使用した方の感想がとても参考になるのでご紹介します。

慣れるまで違和感があって、継続できない人が3割ほどいると担当医に聞いていましたが、私の場合は全くOKで、翌朝目覚めたときには「こりゃすごい!!!!」と、効果の程を実感、というよりその結果に感動すら覚えました。
それまでは夜中に2~3回は目覚めてトイレにいっていたので、「まあ歳のせいかな」と思っていたのですが、これがCPAPを使ったその日から夜中に目覚めることはピタリとなくなりました。それに朝起きたときの口のねばねば感やノドのイガイガ感が全く消えたのは、口呼吸をしなくなったためと思われます。不整脈も無くなりました。昼間電車の中でつり革につかまって立ったまま寝てしまうということも無くなりました。

引用:きらく堂日記

このように、CPAPにSASの症状改善に大きな効果があり、治療の第一選択となります。

ただ、残念ながらCPAPにはデメリットもあります。

③CPAP治療のデメリット

CPAPはSASを根本的に治すわけではない

CPAPは睡眠時の無呼吸を解消するのに非常に有効な治療法ですが、あくまで『対症療法』です。

SASを根本的に治療しているわけではないので長期的に使用することが必要ですし、外して眠れば元に戻ってしまうことも多いです。ですので、CPAPだけでなく主な原因である肥満を解消するため日々のダイエットも欠かせない治療法となります。

CPAPの費用と健康保険

CPAPを用いた治療には健康保険が適用されますが、一定の条件が必要となります。その条件とは以下の2つです。

  • AHI(睡眠中の無呼吸や低呼吸の回数)が1時間に20回以上の場合
  • 月に1度の通院での治療をうけること

一般的には、AHIが5回以上20回未満の場合は軽症、あるいは中等症に分類されますが、症状がこれらの範囲の場合、CPAP治療は基本的には行うことはできません。(器具の個人輸入などの手段は一応あります)

また、保険が適用された場合、鼻マスクやチューブなどの消耗品の交換を含め月額約5000円ほどかかります。(※)

さらに、CPAP治療を行う場合、入院して行う睡眠ポリグラフ検査icon-external-link が必要ですが、この検査後にCPAPを装着した状態での記録をとるためもう一度この検査を行うことになります。

そして、このCPAPは送る空気の圧が重要でこれを個人個人に調整する必要があります。これがうまくいかないと使用後にまた検査入院が必要となる場合もあります。

検査は入院が必要ですから当然数万円がかかることになるので、保険が適用されるからといって費用があまりかからないわけではないということを認識しておかねばなりません。

※いびきと眠気にご注意!睡眠時無呼吸症候群のすべて 成井浩司

CPAPの副作用

CPAPはその効果と合わせて、副作用もあります。

副作用としてあげられるのは、鼻粘膜の乾燥うっ血鼻づまり鼻出血などがあります。特に、重症の鼻づまりがある人にはこのような副作用が現れやすく使用できない場合があります。

ただ、こうした副作用は加湿器やステロイドの吸入、抗ヒスタミン剤の服用などで軽減することができます。

CPAPを付けて眠る不快感

CPAPは鼻にマスクを着けてしかも空気を送り込まれながら眠るので当然人によっては不快感を感じます。

これは実際にCPAPを使ってみた方の感想が一番伝わりやすいと思いますのでご紹介します。

《シーパップ(CPAP)を初めて使った日の感想》
病院から外国製の機種を渡され、その機種を扱っている会社の方からCPAPの使用説明や注意事項の説明を受けました。
その夜から顔に装着し、寝ることになりました。
いざ、装着すると顔が圧迫され、機械の作動音が耳元でゴーゴーと非常にうるさく、かなりナーバスになり、その日は気持ちが安定せず、騒音が気になり、殆んど眠れませんでした。
また、機器の安定を保つため、寝返りが打てず、姿勢を固定させての睡眠は疲れるものでした。
翌日、病院に出向き、CPAPの会社の人に相談に乗ってもらいましたが結局は「慣れることだけが解決方法です。」ということで、自分自身で色々と対策を考え、慣れる訓練をすることとしました。

《シーパップ(CPAP)を使い始めてからの数週間》
機械の性能には問題がなかったのですが、顔の圧迫感、機械の騒音、これだけは簡単には慣れませんでした。直ぐには眠れない為、対策として耳栓をして寝ました。
睡眠不足の日々が続いて安定剤に依存することもありました。
この不快感から何とか慣れるまでに1ヶ月位要したと思います。

引用:CPAP使用者の広場

以上のように、CPAPはSASの無呼吸を解消するのに非常な有効な治療法ですが、デメリットも残念ながらあります。

ただ、確認しておきたいのはデメリットがあるからCPAP治療を行わないのではなく、こうしたことを認識した上で医師とどう治療していくのかをしっかりコミュニケーションしていく必要があるということです。

SASは時には命にかかわる病気ですので、自分でも正しく理解した上で治療に臨むことが大切です。

2.マウスピースによる治療

睡眠時無呼吸症候群 治療 マウスピース

画像引用:ふくだ歯科・矯正歯科

症状が軽症の場合、スリープスプリントと呼ばれる専用のマウスピースを使用する治療法もあります。

マウスピースを口につけて眠ることで下あごを前方に出すことができ、それにより気道が確保され無呼吸の解消につながります。このマウスピース治療によっていびきを90%抑えられるとも言われています。(※1)

なお、マウスピースは専門の歯科でつくってもらうことができます。

マウスピース治療はCPAPと比べて以下のようなメリットがあります。

  • 口にはめて眠るだけで効果がある
  • 比較的少ない費用で行える
  • 旅行や出張先でも使用できる
  • 副作用がほぼなく長期間使用できる
  • 口呼吸から鼻呼吸に切り替えるトレーニングになる

2つ目の具体的な費用としては、このマウスピース治療にも健康保険は適用されるので、一般的に1、2万円の自己負担で済みます。(※2)

ただ、高齢者やあごに障害がある人、鼻詰まりがある人などは使用できない場合があります。

また、このマウスピース治療には副作用はほぼないといわれていますが、人によっては歯やあごに違和感や痛み、不快感を感じることもあります。

※1 図解 睡眠時無呼吸症候群を治す!最新治療と正しい知識 白濱龍太郎
※2 睡眠時無呼吸症候群がわかる本 成井浩司

3.外科的手術による治療

SAS治療はCPAPやマウスピースなどの器具を使用する治療以外にも外科的手術を行う場合があります。ただ、これは他の治療と違いある限定された場合に行われます。

①子どものSAS

睡眠時無呼吸症候群 治療 アデノイド

画像引用:あさひ町榊原耳鼻咽喉科医院

子どものSASの場合、アデノイド(咽頭扁桃)や扁桃の肥大、口蓋垂(のどちんこ)の肥大が原因で無呼吸となるケースが多く、これらの原因となる部分を切除する外科手術が一般的に行われます。

こどもの場合、SASによって質の良い睡眠が取れないことから成長ホルモンの分泌に支障が出てしまうため、こうした手術を積極的に行っていく必要があります。

②物理的要因によるSAS

子どもと同様に成人でもアデノイドや扁桃が肥大している場合や鼻ポリープ、鼻中隔湾曲症など鼻に異常がある場合、骨格的に気道が狭いことによって重症となっている場合には、その物理的要因を切除したり気道を広くしたりする手術も選択肢の一つとなります。

外科的手術で広く行われているのは口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(UPPP)という手術です。これは、軟口蓋や扁桃、口蓋垂(のどちんこ)の一部を切除し、気道を広げる手術となります。

③口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(UPPP)のデメリット

こうしてみるとCPAPなどの治療ではなく外科的手術を最初から行えばよいと思ってしがちですが、デメリットも当然あります。

すべての人に効果があるわけではない。

この手術はすべての場合で無呼吸が解消されるわけではありません。この手術による効果は患者全体のうち約50%(※1)、肥満(BMIが30前後)の中等症の患者さんの場合は約40%とも言われています。(※2)

先に行うとCPAP治療の効果が低下する

このUPPPを行うと、口から空気が出やすくなり空気を直接送り込むCPAP治療の効果が弱まってしまいます。手術の治療効果が100%ではないので、代わりの策であるCPAPの効果が弱まることは、治療上あまり好ましくありません。

後遺症

UPPPには以下のような後遺症がみられる場合があります。

  • 手術後に痛みが残る
  • しばらく鼻声になってしまう
  • 液体を飲み込むと鼻から逆流しやすくなる
  • 時間の経過により、無呼吸が再発する恐れがある

費用

UPPPを行う場合、1週間程度の入院が必要となります。部屋代など病院によってかかる費用は異なるので一概には言えませんが、CPAPやマウスピースより高い金額が必要となるのは間違いありません。

※1 図解 睡眠時無呼吸症候群を治す!最新治療と正しい知識 白濱龍太郎
※2 医療法人社団 英紀会 東京ロンフェルメ耳鼻いんこう科

まとめ:医師との綿密なコミュニケーションが大切です。

以上、SASの治療法について代表的な3つの治療法についてご紹介してきました。

CPAPのところでも触れましたが、どの治療法にもそのメリットやデメリットがあります。読んでいるとデメリットが大きく見えてしまい不安になってしまうこともあると思います。

しかし、SASは場合によっては命の危険もある重大な病気ですので、専門的知識のある医師の指導の下で治療していくことが必要となります。

治療法のことを正しく理解していれば、その分医師にしっかりと自分の状況や不安に思っていることを伝えることができます。また、こうした知識があれば治療について自己判断することの難しさも認識することができます。

一人でも多くの患者さんがSASを放置し危険な状況となることがないように、医師としっかりとコミュニケーションをとって治療に取り組んでもらえるようになれば幸いです。

次の記事では、これらの治療法のほかに自分でできるSAS対策についてご説明します。

自分で治す!睡眠時無呼吸症候群の自分でできる対策6選

そのいびき要注意!睡眠時無呼吸症候群の7つの症状とその原因
費用は?検査法は?誰でもわかる睡眠時無呼吸症候群の検査・診断法










参考:
・図解 睡眠時無呼吸症候群を治す!最新治療と正しい知識 白濱龍太郎
・睡眠時無呼吸症候群がわかる本 成井浩司
・いびきと眠気にご注意!睡眠時無呼吸症候群のすべて 成井浩司
・鼾は直せる 誰にでもある睡眠時呼吸障害の自己解決法 高崎雄司
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