睡眠時無呼吸症候群

そのいびき要注意!睡眠時無呼吸症候群の7つの症状とその原因

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睡眠時無呼吸症候群

皆さんは眠るときいびきをかいていますか。あるいは、夫や恋人などパートナーがいびきをかいていて眠れないといったことはありませんか。

多くの人はいびきをかいていてもうるさいとしか思いませんが、もしかしたらそれは重大な病気のサインかもしれません。その病気とは、『睡眠時無呼吸症候群』です。漢字ばかりが並び難しそうな名前ですが、この病気は時には重大な事故や命にかかわる病気の原因ともなりうる危険なものです。

今回はこの睡眠時無呼吸症候群の症状やその原因についてご紹介します。







1. 睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは

① 睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは

睡眠時無呼吸症候群とは、その名の通り睡眠中に呼吸が止まったり浅くなってしまう病気のことで、『Sleep Apnea Syndrome』の頭文字をとってSASと呼ばれています。(以下、睡眠時無呼吸症候群のことをSASと呼びます。)

睡眠時に呼吸が止まることで、眠りが浅くなり日中に強い眠気を感じたり、イライラしたり、集中力がなくなってしまったりする睡眠障害の一つです。

このSASに特徴的なのが睡眠時の『いびき』です。おおきないびきを繰り返し、息が何度も詰まることがある場合はSASである可能性が高いです。

単なるいびきと思ってしまいがちですが、それによる日中の眠気や集中力の低下は仕事上での重大なミス大事故を起こしてしまう危険性をはらんでいます。

このSASは2003年に起こった山陽新幹線での事故で話題となりました。新幹線の運転士が運転中に居眠りをし、時速270kmで8分間、約26kmも眠ったままで運転してしまったのです。幸いにも自動制御装置が働き、ことなきを得ましたが、一歩間違えば大惨事となっていた危険な事故です。のちの検査で、この運転士は重症のSASであったことがわかっています。

いびきをかいているかどうかは本人にはわからないことで、SAS患者はその自覚症状がほとんどありません。家族や周囲の人が異常に気付いて発覚するというケースが多いのもSASの特徴です。

② 患者は200万人もいる

睡眠中にいびきをかく人は、日本では約2000万人いるといわれていますが、そのうちの200万人はSASであると推定されています。しかし、実際に治療を受けているのは6万人程度で、ほとんどの人がSASと自覚せず日々いびきや眠気と戦っています。SASの認知度がもっと上がり、より多くの人が病気を自覚し治療を受けることを願うばかりです。

③ 男性だけでなく女性もかかる

いびきというと、イメージとして男性がしている姿がまず浮かんでくると思います。実際に、SASの患者は30~60歳代の働き盛りの男性に圧倒に多い病気で、女性はかかりにくいといわれています。

なぜなら、女性は『プロゲステロン』という女性ホルモンが分泌されているためです。プロゲステロンは、本来妊娠に関わるホルモンですが、ほかにも呼吸中枢を刺激する働きもあります。このプロゲステロンの分泌により女性は男性よりもいびきをかきにくくSASになりにくいのです。

ただ、だからといってSASは女性にとって無関係というわけではありません。このプロゲステロンは閉経を迎える40~50歳になるとその分泌量は大幅に減少し始めます。そうなると女性でもいびきをかいてしまうことがあり、SASの発症の可能性が高まってしまいます。閉経前と閉経後を比べるとその発症率は3倍にもなるといわれています。

多くの場合、女性がいびきをかいていることは他人に言いたくないものです。そのため、実際にSASの症状があったとしても病院にはいかず重症化してしまうケースも多いのです。

④ 睡眠時無呼吸症候群の定義

SASは、正確には『10秒以上続く無呼吸が一晩(7時間以上の睡眠中)に30回以上、もしくは睡眠1時間に平均5回以上起こること』と定義づけされています。

さらに、その無呼吸が起きる原因によって大きく2つのタイプに分類されます。

閉塞型睡眠時無呼吸症候群

睡眠中に空気の通り道である気道がふさがってしまい呼吸ができなくなるもので、ほとんどのSASがこのタイプに分類されます。

「ガーッ、ガーッ」という大きないびきをかき、そのいびきが突然止まったり、また始まったりを繰り返すのが特徴です。

中枢型睡眠時無呼吸症候群

呼吸をつかさどる脳の中枢部分の働きに異常が起きていることが原因で呼吸が止まってしまうタイプです。閉塞型に比ベるといびきも少ないものの途中で目が覚めてしまうことが多いという特徴があります。

以下ではSASで最も多い閉塞型について説明していきます。

2. 睡眠時無呼吸症候群の症状

睡眠時無呼吸症候群 症状

SASにはいびきを含め多くの症状があります。以下で各症状について説明していきますが、これらに多く該当する場合はSASである可能性が高いです。不安がある方はご自分やご家族に当てはまるかどうか確認しながらご覧ください。

① いびき・呼吸が止まる

まずSASの症状の中で最も代表的なのがいびき無呼吸です。

ただ、睡眠中にかくいびきすべてがSASであるわけではありません。眠ってすぐや疲れているとき、お酒を飲んだ時にかくいびきは『習慣性のいびき』と呼ばれ、だれしもがかくものであって病気ではありません。これらのいびきは、比較的音も小さい傾向があります。

一方、SASのいびきは「ガァーッ、ガァーッ」という大きないびきです。また、そのいびきが突然止まったり(呼吸が止まっている)するのも大きな特徴です。ほかにもSASのいびきの特徴としては以下のようなものがあります。

  • 仰向けになると大きくなる
  • 音に強弱がある
  • 朝までずっと続く
  • 突然息が詰まったようにいびきが途切れる
  • 呼吸が止まった後の大きな音のいびき
  • 最近いびきが多くなって音も変わってきた

いびきの怖いところは自分で確認できないことです。もし、日中眠気があり活動に支障が出ている場合は、一度パートナーや家族に自分の状態を一度を確認してみてください。あるいは、スマホなどで睡眠中の状態を録音してみるのも効果的です。

② 何度も目が覚める、熟睡感がない

睡眠中に無呼吸となると、当然息苦しくなって途中で何度も目が覚めてしまいます。また、途中で起きている自覚がなくても睡眠の質の低下により熟睡感が感じられないことも多くあります。

一見すると不眠症のように感じますが、SASが原因の場合、睡眠薬も効果はなく、時には逆効果となってしまうこともあり注意が必要です。

③ 夜間頻尿

睡眠時無呼吸症候群 症状 夜間頻尿

夜間頻尿もSASで特に多くみられる症状です。ひどい場合はそのまま失禁してしまうことさえあります。

大きないびきをかくと腹圧が上がって尿意がもよおされたり、同時に尿を出さないようにしているホルモンの分泌が低下するために頻尿の症状が現れます。

夜間頻尿が生じることでも中途覚醒が多くなったり、熟睡感がえられない原因となってしまうこともあります。

④ 日中の居眠り

睡眠時無呼吸症候群 症状 居眠り

このように十分に睡眠時間をとっていても実際はちゃんと寝れていないため、日中に強い眠気を感じ、居眠りをしてしまうようになります。

睡眠不足のときは誰しも眠気を感じてしまうものですが、自分の意志で我慢できるケースがほとんどでしょう。しかし、SASでの眠気は非常に強い眠気であることが多く、重要な取引先との商談中やテスト中など本来緊張で起きていられるような大事な場面でも居眠りをしてしまうこともあります。

先ほどふれた新幹線事故の例も運転中という絶対に起きていなければならない状況でも眠ってしまうところがSASの非常に怖いところでもあります。

⑤ 起きたときの頭痛

SASの場合、起きたときの頭痛がすることもあります。睡眠時に呼吸が止まることによって血液中の酸素濃度が下がり、低酸素血症や、高炭酸ガス血症などが起こることで頭痛が生じます。

頭痛がする場合は、比較的重症であることが多いのではやめに医療機関で受診することが必要です。

⑥ 勃起不全(ED)

意外かもしれませんがSASは勃起不全、いわゆるEDの原因ともなります。欧米では、SAS患者の1/4がEDであるという報告もあります。

ホルモンは一般的に睡眠とともに分泌されるものですが、睡眠中の無呼吸により血液に酸素が足りなくなるとホルモンの分泌を低下させてしまうことがあります。男性の場合、テストステロンという男としての機能を保つ働きがある男性ホルモンがありますが、その分泌を指令する脳の働きがとどこおってしまうことでEDが生じてしまいます。

⑦ 肥満

あとでふれますが肥満はSASの原因でもある一方で、SASが肥満を引き起こしてしまうこともあります。ここで関係してくるのは成長ホルモンです。

成長ホルモンというと、子供に分泌されるもので、体を大きくするのに必要なイメージがあると思いますが、成長ホルモンは大人でも分泌されます。

成長ホルモンは、その名の通り骨や筋肉の成長を促したり、壊れた筋肉を治していく機能のほかに、脂肪を分解する機能もあります。アメリカではこの機能を利用して肥満対策として成長ホルモンを投与することもあるくらい肥満解消に有効なホルモンです。

この成長ホルモンの分泌に欠かせないのは深い睡眠です。寝る子は育つとよく言われますが、成長ホルモンに睡眠は必要不可欠なのです。浅い眠りになってしまった場合、成長ホルモンの分泌は最大30%まで減少するといわれています。

SASは睡眠時の無呼吸により浅い眠りを引き起こします。そうすると成長ホルモンがうまく分泌されずに太りやすくなってしまうのです。

以上、7つの代表的な症状を挙げてきましたが、ほかにも寝汗をかく、起きたとき口が乾く、日中の疲労感・倦怠感、集中力の低下などSASにはたくさんの症状があります。

3. 睡眠時無呼吸症候群の原因、なりやすい人

SASの主な原因は『肥満』です。

SASは眠っているときに気道が塞がってしまうことで起こりますが、太っていると気道周辺に脂肪がたまりやすくそのせいで気道が塞がりやすくなってしまいます。

実際にアメリカでのSAS患者の90%以上が肥満です。また、肥満の人はそうでない人の3倍以上の発症リスクがあるとも言われています。

しかし、痩せているからといって安心はできません。生まれつき骨格が細い人あごが小さい人首が短い人首が太い人なども気道が塞がりやすくSASの原因ともなります。

特に日本人の場合、短く平らな顔、小さなあご、のどが咽頭(のどちんこ)の近くになる、扁桃腺が大きいなどの骨格的な特徴が原因でSASになってしまうケースが多くあります。実際に、アメリカ人とは違い日本人ではSAS患者の3~4割が標準体重であるといわれています。

4. 睡眠時無呼吸症候群の影響

① 居眠り運転による交通事故

睡眠時無呼吸症候群 影響 交通事故

SASは睡眠時の無呼吸により日中に強い眠気に襲われると書きました。強い眠気は、自分の意志では我慢できないほどのものです。これが運転中に起こることを想像するだけで怖いものがあります。

2003年の山陽新幹線の事故のほかにも、2012年に高速ツアーバスが高速道路の防音壁に衝突し、7名もの死亡者を出した事故も運転手はSASであったことがわかっています。

アメリカの調査によるとSAS患者による事故発生率は健康な人の約7倍にもなると報告されています。仕事で車を運転する機会が多い人は、とくに自分がSASでないか特に注意する必要があります。

睡眠時無呼吸症候群 交通事故発生率

参照:Findley, L. J., et al. (1988). “Automobile accidents involving patients with obstructive sleep apnea.” Am Rev Respir Dis 138(2): 337-340.

② 合併症

SASで最も恐ろしいのはそれによって引き起こされる合併症です。主な合併症には高血圧糖尿病があり、ものによっては命にかかわってしまう場合もあります。

高血圧

高血圧というとただ血圧が高いだけでそれほど危険性はないように感じますが、実はそうではありません。高血圧は「サイレント・キラー」とも呼ばれ、その自覚症状はないにもかかわらず、突然死に繋がる狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などの重大な病気の原因となります。

血圧が高いほどこれらの病気にかかりやすくなり、その発症率は健康な人の3倍にもなるといわれています。単に高血圧といっても侮れない危険な状態なのです。

では、なぜこの高血圧とSASがつながるのでしょうか。

SASは無呼吸になることで血液中の酸素が不足し血管が収縮してしまい、夜中に何度も目が覚めてしまいます。睡眠中は本来脳や体を休めている状態ですが、何度も覚醒すると昼間と同じように交感神経が活発となり、心臓から必要以上に多くの血液が送り出されることになってしまうため高血圧になってしまうのです。

また、十分に眠れないことや日中の眠気から生じるストレス、肥満といったことも高血圧の原因となります。

高血圧になっている人は日本で800万人、世界では10億人いると推定されていますが、最近の調査では高血圧患者の約30%がSASであったということが明らかになっています。単純計算してみてもものすごい数の人が高血圧とSASを合併していることがわかると思います。

さきほど高血圧は心筋梗塞や狭心症などの病気を引き起こすと書きましたが、これらの病気とSASとの関係で非常にショッキングなデータがあります。

そのデータとは、SASになった場合、夜間の心臓突然死の発生率が2.6倍になってしまうというものです。重い持病もない人が睡眠中に亡くなる場合、その原因はSASである可能性がかなり高いといえます。

SASに対する認知度が高い欧米では、心臓マヒで死亡するとまずSASが原因ではないかと疑うほどです。

糖尿病

高血圧のほかに重大なSASの合併症としては糖尿病があります。2008年に行われた国際糖尿病会議では、糖尿病とSASの合併率は23%に及ぶという報告がされています。

糖尿病は、摂取した糖分を十分に代謝できなくなり、血糖が異常に増える病気ですが、この代謝異常の影響はほぼ全身の臓器や血管、神経系に及びます。症状が進むと手や足の神経障害(糖尿病性神経障害)、腎臓の病気(糖尿病性腎症)、網膜の障害による失明(糖尿病性網膜症)などの恐ろしい病気の発生につながってしまうこともあります。

糖尿病の3大原因は、食べ過ぎ太りすぎ運動不足です。SASが体を肥満にし、また、肥満がSASを引き起こすというSASと肥満は密接な関係にあります。この肥満が糖尿病を引き起こしてしまうのです。

まとめ:睡眠時無呼吸症候群は早期発見が大切です

以上、SASの症状やその影響についてみてきました。ただのやかましいいびきと思いがちですが実は大きな危険をはらんでいるのがSASです。

それなのに高血圧や糖尿病と違いその認知度は高くないのが実情です。

SASは適切な治療により改善できる病気ですので、たかがいびきと安心せず、不安があれば早めに専門医に相談する人ことをお勧めします。

次の記事では、SASの検査や診断法、そして気になる費用についてご説明します。

費用は?検査法は?誰でもわかる睡眠時無呼吸症候群の検査・診断法

CPAPって何?睡眠時無呼吸症候群の3つの治療法とメリット・デメリット
自分で治す!睡眠時無呼吸症候群の自分でできる対策6選










参考:
・睡眠時無呼吸症候群がわかる本 成井浩司
・いびきと眠気にご注意!睡眠時無呼吸症候群のすべて 成井浩司
・図解 睡眠時無呼吸症候群を治す! 最新治療と正しい知識 白濱龍太郎
・鼾は直せる 誰にでもある睡眠時呼吸障害の自己解決法 高崎雄司
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