睡眠障害

不眠症以外にもこんなにあるの?睡眠障害の6つの種類とその症状

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睡眠障害 症状 種類

日中常に眠気を感じて集中できない、夜なかなか寝付けないと日頃の睡眠に困っている方は多いのではないでしょうか。

すぐに思いつくものとしては『不眠症』がありますが、睡眠に関する障害はこれだけではありません。

自分の症状を間違った認識で対処してしまうと一向に治らず普段の生活に支障が出てしまうことがあります。逆に言えば睡眠障害を正しく理解することは、適切な処置を受け早期に治すことにもつながります。

そこで、今回は睡眠障害とはどんなものがあるのか、その種類や症状についてご紹介します。







はじめに

睡眠障害にはその症状などから大きく分けると6つの種類に分類することができます。アメリカ睡眠医学会が公式に発表している睡眠障害国際分類(ICSD)によると以下のような分類になります。

  • 不眠症(Insomnia)
  • 睡眠呼吸障害(Sleep Related Breathing Disorders )
  • 過眠症(Central Disorders of Hypersomnolence)
  • 概日リズム睡眠障害(Circadian Rhythm Sleep-Wake Disorders)
  • 睡眠時随伴症(Parasomnias)
  • 睡眠時運動障害(Sleep Related Movement Disorders )

それぞれの症状には似た部分や違いがあり、治していくためにはその種類に沿った治療を受けることが必要となります。以下では、この6つの種類に沿ってその症状や主な治療法などを簡単に説明していきます。

1.不眠症

まず睡眠障害の中でも最も有名な不眠症です。不眠症とは、通常の時間帯に寝ているにもかかわらず、寝付けなかったり、途中で起きてしまったりと満足のいく睡眠がとれないことによって日中の活動に支障が出ている状態が継続的に続いてしまうことを指します。

不眠症の症状としては、寝つきが悪い『入眠障害』、途中で起きてしまい再び眠ることができない『中途覚醒』、あまりにも早く起きてしまう『早期覚醒』、睡眠したはずなのに寝た充足感が得られない『熟睡障害』の4つがあります。

これらの不眠症の原因としては、ストレスによるもの、心の病気によるもの、体の病気によるもの、体内リズム・生活リズムの狂いによるもの、ほかの病気を治すための薬の服用によるものなどがあります。

不眠症を治すためには、これらの原因に沿った治療が必要です。心や体の病気が原因であればその病気自身を治していく必要がありますし、薬によるものの場合は薬の処方を変えていくことなどが求められます。

こうした原因を取り除いていくことのほかには、睡眠薬を服用する薬物治療を主として睡眠に対する考え方を整えていく認知行動療法などがあります。

2.睡眠呼吸障害(睡眠時無呼吸症候群)

睡眠障害 睡眠時無呼吸症候群

睡眠時呼吸障害で代表的な疾患としては、『睡眠時無呼吸症候群』が挙げられます。

睡眠時無呼吸症候群とは、寝ている間に舌が気道に落ち込んでしまうことで呼吸ができなくなったり、浅くなってしまうことにより生じる睡眠障害です。無呼吸となってしまうことでしっかりと眠りにつくことができず、日中に眠気が生じたり、集中力がなくなってしまうことがあります。

2003年には山陽新幹線の運転士が運転中に居眠りをしてしまうという一歩間違えば大惨事となってしまう事故がありました。のちの調査で、この運転士が重度の睡眠時無呼吸症候群であったことがわかっています。

端から見ると寝ている間少し息苦しそうなだけですが、日中の活動に支障が出て大きなミスや被害を生んでしまう可能性のある危険な病気です。

この病気は特別な病気というわけではなく、成人の約3~5%、65歳以上の場合は約10%の人がかかっているといわれています。(※1)

症状としては、頻繁に目が覚める、寝汗をかく、息苦しいなどがありますが、典型的なのは『いびき』です。大きないびきの後に、10秒以上呼吸が止まったり、あえぎや息が詰まる感じがする場合は注意が必要です。本人は寝ているため自覚がなく、家族などが気づくケースが多いのが特徴です。

ほかにも最近では、この睡眠時無呼吸症候群は高血圧症糖尿病と密接な関係にあることが明らかになってきています。あるデータでは、睡眠時無呼吸症候群の患者のうちの約25%が糖尿病を発症していることもわかってきています。(※2)

最悪の場合には、糖尿病や高血圧とともに無呼吸による血中の酸素が不足し、血液が濃く詰まりやすくなることで心筋梗塞や脳梗塞といった死にかかわる病気に繋がってしまうこともあります。

この病気の主な原因としては『肥満』が挙げられます。肥満により気道付近に脂肪がたまってしまうと気道が狭くなり睡眠時の呼吸に支障が出てしまいます。

治療法としては症状が軽い場合、睡眠時に専用のマウスピースが用いられます。このマウスピースを口に入れながら眠ることでかみ合わせを調節し、無呼吸状態を防ぐことができます。

症状が重い場合は、シーパップ(CPAP)というマスクを用いた装置を使った治療が行われます。

睡眠障害 睡眠時無呼吸症候群 CPAP シーパップ

引用:一般社団法人日本呼吸器学会

これは上の図のように鼻につけたマスクに空気を送り込むことで狭くなっている気道を強制的に広げて無呼吸を防ぐ治療法です。多くの人はこのCPAPにより、不快感もなくすっきりと目覚め日中の眠気もなくなります。

このCPAPは非常に効果がありますが、病気を根本から治すわけではなく、これを外して眠れば元に戻ってしまいます。ですので、根本の原因となる肥満を解消するためにダイエットも同時にしていくことが必要です。

そのいびき要注意!睡眠時無呼吸症候群の7つの症状とその原因

※1:不眠の悩みを解消する本 三島和夫
※2:眠れないあなたに 睡眠科による不眠の治療 塩見利明

3.過眠症

睡眠障害 過眠症

夜よく眠れずに日中に支障出てしまうのが不眠症ですが、夜十分に寝たはずなのに日中に強烈な眠気に襲われてしまうのが『過眠症』です。過眠症の代表的なものとして『ナルコレプシー』と『特発性過眠症』があります。

① ナルコレプシー

別名『居眠り病』とも言われ、日中に耐えがたいほどの強烈な睡魔に襲われ、一日何度も居眠りを繰り返してしまうのが特徴です。

たとえ、大事な会議中であっても、入学試験の途中であろうと、人と会っているときであろうと自分の意思に関わらず突然眠り込んでしまいます。

ただ居眠りをしてしまう時間は1時間を超えることはほぼなく、10~20分程度で済みます。目覚めたときはすっきりしていますが、また2、3時間たつと再び睡魔に襲われてしまいます。

ナルコレプシーの治療は、薬物治療と非薬物治療が行われます。ここでいう非薬物治療とは、規則正しい生活の中で夜間には十分な睡眠をとること、眠気を我慢するのではなく休憩時間に積極的に仮眠をとるようにすることを指します。

また、仕事や学校に行くなど通常の社会生活を過ごすためには、これだけでなく薬物治療もともに行わざるえません。実際に、ナルコレプシー患者の95%は薬を服用しています。近年の日本では、昼間の眠気対策として比較的副作用の少ない『モダフィニル』という薬が使われるようになってきています。

ナルコレプシーは根治が難しいといわれている病気です。また、こういう病気があると知らなければ単純に居眠りをしている怠け者のように見えてしまうこともあります。ですので、これらの治療だけでなく周囲の人がこうした病気があるということを理解し、適切な対応をとっていくことが求められます。

② 特発性過眠症

日中に眠気に襲われ居眠りをしてしまうという症状はナルコレプシーと同様ですが、居眠りをしてしまう時間が1時間から数時間と長く、すっきり目覚めることができずに「酩酊睡眠」というひどい寝ぼけの状態になってしまうのが『特発性過眠症』です。

この病気特有の治療法というものはなく、ナルコレプシーと同様にモダフィニルなどの精神刺激薬が使われています。また、夜間の睡眠を改善するために睡眠導入剤を使用することもあります。

7つの過眠症とその症状や診断法

4.概日リズム睡眠障害

睡眠障害 概日リズム睡眠障害

通常、私たちの体は太陽が上がった日中に起きて活動をし、太陽が沈んだ夜には眠くなるようにプログラムされています。この睡眠や覚醒のリズムを決定しているのが「体内時計」です。

しかし、夜更かしが続いたり、交代勤務により日勤から夜勤に変わったりして、昼に睡眠をとらざるを得ず体内時計が狂ってしまうことがあります。その結果、社会的に望ましい時間帯に起きていられなくなってしまうのが「概日リズム睡眠障害」です。

この概日リズム障害には、望ましい時間よりも慢性的に睡眠時間が遅れてしまう『睡眠相後退症候群』や逆に早すぎる時間に眠くなってしまう『睡眠相前進症候群』、日勤から夜勤に勤務時間が変わることで生じる『交代勤務睡眠障害』などがあります。

これらの概日リズム障害の治療に効果的なのは、朝起きたときに太陽の光を浴びることです。太陽の光を浴びることによって体内時計のズレをリセットすることができます。

また、太陽の光以外にも人工的に強い光を浴びる高照度光療法メラトニン、あるいはメラトニンに類似した効果を持つ睡眠薬を投与することもあります。

朝起きられないのはなぜ?概日リズム睡眠障害の7つの分類とその治療法

5.睡眠時随伴症

眠っているはずなのに体が起きて異常な行動などをしてしまう睡眠障害を睡眠時随伴症といいます。睡眠時随伴症には大きく分けて深い眠りであるノンレム睡眠時に起こるものと浅い眠りであるレム睡眠時に起こるもの2種類があります。

①ノンレム睡眠時に起こる睡眠時随伴症(睡眠時遊行症)

ノンレム睡眠中に起きる睡眠時随伴症の代表的な例が『睡眠時遊行症(夢遊病)』です。

睡眠時遊行症の場合、睡眠中であるのにもかかわらず寝床から起き上がって家の中をうろうろしたり、階段を上り下りしたり、ときには食事をしたり電話をしたりと日常の活動をすることもあります。

深い眠りであるノンレム睡眠中の出来事なので家族などから声をかけられても完全に覚醒させることは困難です。

ただ、睡眠時遊行症は脳が未発達である子供に起こるとされており、成長するにしたがってほとんどの場合自然に治癒します。

この睡眠時遊行症のほかに、睡眠中に突然大きな声を出したり、泣きわめいたり、走り回ったりしてしまう『睡眠時驚愕症(夜驚症)』や、睡眠時にトイレ以外の場所で排尿してしまう『睡眠時遺尿症(夜尿症)』などがあります。

② レム睡眠時の起こる睡眠時随伴症(レム睡眠行動障害)

浅い眠りであるレム睡眠時に起こるものとしては、『レム睡眠行動障害』が挙げられます。症状としては、大声で喚いたり、脚をバタバタさせたり、ときには歩き回って家具やガラス窓に衝突するといった暴力的な行動をすることがあります。ノンレム睡眠と違いレム睡眠中は夢を見ているので、その夢の中の行動が実際の体の動きにあらわれてしまうのです。

睡眠時遊行症が子供に多く見られるのに対して、レム睡眠行動障害は中年の男性に比較的多くみられます。

治療法としては、主に薬物治療が行われます。この症状は夢が暴力的であればあるほど異常行動の激しさが増してしまうので、怖い夢を見ないように夢の質を和らげるような薬を処方します。

多くの場合、抗てんかん薬である『クロナゼパム』が処方されますが、薬によって約8割の人がほぼ完治するか異常行動の頻度が減少します。

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6.睡眠時運動障害(レストレスレッグス症候群)

睡眠時運動障害の代表的な疾患は、『レストレスレッグス症候群』、いわゆる『むずむず脚症候群』と呼ばれている疾患です。

レストレスレッグス症候群では、寝床に横になると、脚にむずむずした不快感が生じて、じっとしていられなくなり寝付けなくなってしまいます。症状が進行すると、針で刺されるような激しい痛みや、脚にとどまらずお腹や背中、腕にまで不快感が広がることもあります。

原因としては、神経伝達物質であるドーパミンの機能低下や鉄分の不足による代謝異常、慢性腎不全、妊娠との関連などが挙げられていますが、いまだ十分に解明されていないのが実情です。

これまではこれといった治療法がなく、入浴やストレッチ、マッサージなどでしか対処できなかったのですが、2010年に新たに認可されたパーキンソン病の治療薬である『プラミペキソール』が治療に大きな効果をもたらすようになりました。

むずむずして眠れない!むずむず脚症候群の症状とその対処法7選

まとめ:不安があれば迷わず専門医に相談しましょう

睡眠障害 病院

以上、6つの種類の睡眠障害とその症状について紹介してきました。睡眠障害といっても様々な症状があり、ものによっては命に関わったり、家族や周りの人が被害を被ったりすることもあります。

これらの症状に少しでも当てはまりそうだと思った場合は迷わず専門医に相談しましょう。どの病院に行くか迷う場合は、日本睡眠学会という専門機関が睡眠医療認定医をホームページで紹介していますのでそちらを参考にしてください。

icon-external-link 睡眠医療認定医リスト(日本睡眠学会)










参考:
・不眠の悩みを解消する本 三島和夫
・眠れないあなたに 睡眠科による不眠の医療 塩見利明
・今度こそ「快眠」できる12の方法
・睡眠障害のなぞを解く 櫻井武
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