不眠症

何科に行けばいい?不眠症を本気で治すための病院という選択肢

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現在、日本の成人のうち、三人に一人が何らかの不眠症状を抱えているといわれています。

また、最近の調査では、40歳以上に対象を絞ると不眠症の疑いがある人の割合は4割に達することがわかっています。

加えて同調査では、そのうちの約6割が治療のために医師に相談したことはないと回答しています。日本では、不眠症の治療のために病院に行くことはあまり浸透していないというのが実情です。

自分の力で不眠症を治すことができればそれに越したことはありませんが、そう簡単にも行かないのが不眠症です。

眠るために、生活習慣を変えたり、寝具を取り換えてみたりしたものの一向に治る気配がないと不安になっている方も多いのではないでしょうか。そのような場合は、無理をせず病院へ行き相談することを強くお勧めします。

ただ、不眠症の病院というと、どの病院に行けばいいのか、どんな治療をするのか一般の方にはなじみのないことだと思います。

そこで、本気で不眠症を治したいと思う方のために、病院における不眠症の治療についてご紹介していきたいと思います。







1. 何科に行けばいいの?

まず、不眠症の治療のためには何科の病院に行くべきかどうかについてですが、一般的には、精神科心療内科になります。

ただ、精神科と聞くと正直なところ心の問題を扱うところなので敷居が高いと感じる方もいると思います。

もし、『いきなり精神科にいくのはちょっと』と思われる場合は、かかりつけの医師に相談してみましょう。そこで、生活習慣へのアドバイスや場合によっては睡眠薬も処方することができます。

肝心なことは自分で抱え込みすぎず、悩みを相談することです。

不眠症は、ストレスや不安といった心の問題が原因の一つでもありますので、悩みを打ち明けて精神的負担を軽減することが治療に役立つことも大いにあります。

ただ、それでも快方に向かわない場合は、専門医のいる病院を紹介してもらうようにしましょう。

また、症状が重い場合は、精密な検査が必要なこともあります。

その場合は、睡眠医療認定医に相談してみましょう。これらの医療機関は、日本睡眠協会のHPで参照することができますので、下のHPでお近くの医療機関を探してみてください。

icon-external-link 睡眠医療認定リスト(日本睡眠学会)

2.どんな治療をするの?

では、いったいどんな治療をするのでしょうか。不眠症の治療というと真っ先に睡眠薬の投与が浮かんでくる方も多いと思います。たしかに睡眠薬を使用することが多いのは事実ですがそれだけではありません。

診断の流れを順番に見ていきましょう。

① 症状の把握・治療の要否判定

不眠症の症状や原因は、人によってさまざまあります。

症状としては寝つきが悪い人、早く起きてしまう人など、原因としてはストレスや悩みといった心理的なものから、生活リズムの崩れ、ほかの病気のための薬の副作用など千差万別の状況があります。

こうした個人個人の状況を正確に把握し、本当に治療が必要かどうかを問診などによって判断します。

〇不眠症の問診例

≪不眠の状況を知る≫
・いつ頃から眠れなくなったか。
・眠れなくなった原因に心当たりはないか。
・眠るまでにどのくらいの時間がかかるか。
≪不眠のタイプを探る≫
・寝付くまでにどのくらいの時間がかかるか。
・夜中に何度も起きることがあるか。そのあとにすぐ眠れるか。
・朝、起きようと思った時間よりやたらと早く起きてしまうことはないか。
・よく眠ったという熟睡感はあるか。
≪不眠の原因を探る≫
・腫瘍や心疾患、発熱などはあるか。
・昼夜逆転の生活はしていないか。
・精神的ストレス・不安・悩みなどはないか。
・現在、何かの病気の治療のために薬を飲んでいないか。また、飲酒や喫煙をどのくらいしているか。

また、これらの問診でも判断が難しい場合、補助診断として睡眠ポリグラフ検査という検査を行う場合があります。

睡眠ポリグラフ検査とは、頭、鼻、目の周囲、のど、胸、脚など複数の場所に小さなセンサーを貼り付けて、睡眠時の脳波図・心電図・筋肉と眼球の動きなどを同時に記録できる検査です。(この検査は、特別な機器が必要なため備え付けている専門医療機関に限られます。)

② 生活指導(睡眠衛生)

症状を把握した後には、まず最初に質の良い睡眠を確保できるよう睡眠に関する正しい知識を身につけてもらい、生活習慣を見直してもらうよう指導を行います。

具体的には、適正なリズムを保つ、寝室の睡眠環境を整える、飲酒や喫煙に注意を払うなどといった身近な生活の送り方についての指導です。

これらの生活習慣の指導によって症状が改善しない場合は、次の③薬物療法や非薬物療法である④認知行動療法が行われることになります。

③ 薬物療法

不眠症の治療に用いられる薬にはたくさんの種類があります。

薬を処方する際には、不眠の原因や不眠の症状、持病・健康状態などの個人個人の状況に合った薬を処方します。

例えば、寝つきが悪いタイプの不眠症であれば、服用からすぐに効果がある短時間型の薬を、夜中に目が覚めたり、朝早く起きすぎてしまう人には効き目が12時間以上持続する長時間型の薬をといったふうにタイプ別で処方していきます。

睡眠薬というと、副作用ややめられなくなるなどあまり好ましくないイメージがあるのが正直なところだと思います。しかし、それはすでに昔の話です。

現在の睡眠薬は、睡眠導入薬や睡眠改善薬といったソフトな名称に変わり、耐性がつきにくく副作用が少ない種類の薬剤が主に使われていますので、適正に服用することさえ守れば安全な薬となっています。ご安心ください。

④ 認知行動療法

睡眠薬と同時に可能であれば、薬を使用しない『認知行動療法』が行われます。

認知行動療法とは、その名の通り、「認知」に働きかけて気持ちを楽にする精神療法の一つです。ここでいう認知とは、ものの考え方や受け取り方のことをいいます。

不眠症は、心理的要因、不適切な睡眠習慣、睡眠に対する認知のゆがみなどによって生じ、習慣化されています。

これらの認知的・行動的な問題を解決することにより、睡眠への恐怖心やこだわりを軽減することを目指すのが認知行動療法です。

具体的には、以下のようなことを行います。

  • 精神療法:
    不眠を引き起こしている精神的ストレスや、慢性的な不眠が起こす不眠に対する恐怖や不安の悪循環に対するアプローチから、それらを軽減することによって不眠症状を改善させます。
  • 刺激制御療法:
    寝床に入って寝ようとしてもうまく寝付けなかったことの苦痛や記憶が刷り込まれて、寝室に行くだけで苦痛を感じてしまう場合に、眠たくなった時にだけ寝室に行くようにする、寝室では睡眠以外のことはしない、眠れなければすぐに別室に移動するといったことを指導します。この方法は、寝つきが悪い場合や夜途中で起きてしまう場合に効果があるといわれています。
  • 睡眠制御療法:
    少しでも長時間眠ろうと思い、必要以上の時間を寝床で過ごしている場合に、就寝時間と身体の要求する睡眠時間との差を減少させることによって不眠症状を改善させる方法です。

⑤ 維持療法・休薬トライアル

これらの方法により、不眠症の症状が改善した場合、投与する睡眠薬の量や回数を徐々に減らしていき、最終的には投与をやめることができるように取り組んでいきます。

睡眠薬をやめるためには、以下の4つの条件が必要なります。

  • 不眠の症状とその苦痛がなくなったこと
  • 不眠への恐怖心がなくなったこと
  • 気持ちに余裕ができたこと
  • 睡眠薬を減らすことに不安がないこと

これらの条件を満たさず、不眠症が十分に治らないうちに睡眠薬を止めてしまうと、不眠症が再発したり、悪化したりすることがあるので、休薬には十分な期間をかけて行っていきます。

その後、問題なく薬をやめることができれば晴れて治療完了となります。

以上が、不眠症治療の一般的な流れとなります。

まとめ:無理をせず早めに相談しましょう。

これまで不眠症の病院での治療について説明してきましたがいかがだったでしょうか。

最初に述べたように日本ではいまだ不眠症の病院での治療は浸透しているとはいいがたいのが実情です。

しかし、不眠症を治すには自分の力だけではどうしようもないことが多々あります。

最近では、薬も進歩し、また、非薬物療法である認知行動療法を行う医療機関も増えてきており、病院での治療体制は整ってきています。

一人で無理をせず、辛いときは病院に行くという選択肢も心にとどめていてほしいと思います。

副作用が怖い?不眠症解消のための睡眠薬との正しい付き合い方










参考:
不眠症治療に関する意識と実態 MSD株式会社
・不眠の悩みを解消する本 三島和夫
・今度こそ「快眠」できる12の方法 内山真
・眠れないあなたに 睡眠科による不眠の医療 塩見利明
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